第10回:【住宅業界】戸建てを建てる住宅メーカーとマンションを建てるゼネコン・土地や建物の売買における不動産会社の働き【スーパーゼネコン・不動産会社・売買仲介・賃貸仲介・管理】

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戸建てを建てる住宅メーカーとマンションを建てるゼネコン【ゼネコンは建築業界のリーダー】

ゼネコンと住宅メーカーは取り引き相手が異なります。ここでは、ビルなどの巨大施設の建設を担うゼネコンの特徴や、長い歴史を持つスーパーゼネコンと呼ばれる企業について見ていきましょう。

ゼネコンは「総合建設業者」

大手住宅メーカーの一部はマンション事業を行っていることがありますが、多くのビル・マンションはゼネコン(ゼネラル・コントラクター)が建設しています。

ゼネコンは「総合建設業者」と呼ばれており、ビルやマンションだけでなく、たとえば病院やデパートなどの巨大施設の建設も行います。また、国や自治体からの競争入札を勝ち取り、建設を行うこともあります。とはいえ、自社ですべての施工を行うというより、元請けとしてほかの土木や建設会社を管理・コントロールするリーダーとしての役割を担っています。

ゼネコン

大手の総合建設業者。営業、設計、施工、下請け業者への指示・監督、また耐震技術や建設物の構造研究まで、多岐にわたって事業を行う。

スーパーゼネコンと住宅メーカー

日本のゼネコンで売上規模が1兆円にもなる5社【竹中工務店・清水建設・大林組・大成建設・鹿島建設】スーパーゼネコンと呼ばれています。この5社は歴史も長く、施工のみならず、設計や研究開発も幅広く行っており、高い技術力を持っています。

ゼネコンと住宅メーカーは市場が異なる

ゼネコンと住宅メーカーの売上規模などを比較しても、大きな差は見られません。一方で、住宅メーカーは一般消費者を相手にしていますが、ゼネコンは国や自治体、また巨大な土地を保有・売買している不動産デベロッパーを相手にしています。そのため、業務の内容が大きく異なるのです。また、従業員の平均年収などを比較するとゼネコンのほうが高く、業務難易度の高さが表れています。ゼネコンが建築業界において、リーダー的ポジションに位置していることがわかります。

ゼネコンの売上ランキング(2019年)

1 大林組(2兆730億円)
2 鹿島建設(2兆108億円)
3 大成建設(1兆7513億円)
4 清水建設(1兆6983億円)
5 竹中工務店(1兆3521億円)
6 長谷工コーポレーション(8460億円)
7 五洋建設(5738億円)
8 戸田建設(5187億円)
9 前田建設工業(4879億円)
10 安藤・間(3781億円)

建築業界におけるリーダー

建築業界におけるリーダー

建築業界におけるリーダー

ゼネコンと住宅メーカーの違い

ゼネコンと住宅メーカーの違い

ゼネコンと住宅メーカーの違い

土地や建物の売買における不動産会社の働き

土地や建物は、個人間で売買を行うことができます。しかし、不動産売買では、不動産会社によって仲介が行われることがほとんどです。その理由と、不動産会社の働きについて見ていきましょう。

土地や建物の売買仲介

不動産会社は主に土地・建物の「売買仲介」「賃貸仲介」「管理」の3つの役割があります。

土地や建物を個人で売買することは可能ですが、さまざまな法律が絡み、個人間で起きたトラブルはすべて自己責任になります。そのため、基本的に個人売買をする人はほとんどいません。

不動産の売買では、宅地建物取引士や建築士などの資格や専門知識を持つ人が、売り主と買い主の間に立って仲介を行います。仲介会社の実際の業務は、物件の告知・宣伝や値段交渉、事務手続き、法的に定められた重要事項説明など多岐にわたります。

売買仲介

物件の売り主と買い主を仲介して売買を成立させること。物件数は安定しているが1つの物件に対して価格が高く、顧客数が少ない。仲介手数料で収入を得る。

賃貸仲介

物件の貸し主と借り主を仲介して契約を成立させること。購入物件と比べて価格が低いため、物件数・顧客数が多い。仲介手数料で収入を得る。

管理

物件の管理を行う業務。契約管理のみならず、入居者対応、防犯・警備体制の強化、共用部の管理など、多岐にわたる業務を行う。物件のオーナーからの管理手数料で収入を得る。

賃貸物件の仲介

マンションや戸建てを所有するオーナーと、一定期間借りて住みたい人との間に立つのが不動産会社の役割の1つです。

契約内容は売買と賃貸で異なりますが、基本的な業務の流れはどちらも差はありません。しかし、売買と賃貸では扱う金額が異なりますし、顧客層や対応する数もまったく異なるため「違う仕事」と捉えておくのがよいでしょう。

物件や入居者の管理

不動産会社にはマンションや戸建てを貸し出しているオーナーのかわりに、物件や入居者を管理する役割もあります。

入居者から賃料を毎月回収することに加え、建物の設備の故障や修繕などの対応も行います。賃貸物件の管理は仲介をした不動産会社がそのまま行う場合と、仲介とは別の管理会社に委任される場合があります。

不動産会社の役割と分譲

不動産会社の役割と分譲

不動産会社の役割と分譲

不動産の売買と賃貸における業務の違い

不動産の売買と賃貸における業務の違い

不動産の売買と賃貸における業務の違い

>>第11回:【住宅業界】ニーズの変化によって業績を上げているリフォーム会社・設計事務所の仕事と工務店との関係【設計事務所・工務店・リフォーム会社】

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