第11回:【住宅業界】ニーズの変化によって業績を上げているリフォーム会社・設計事務所の仕事と工務店との関係【設計事務所・工務店・リフォーム会社】

<<第10回:【住宅業界】戸建てを建てる住宅メーカーとマンションを建てるゼネコン・土地や建物の売買における不動産会社の働き【スーパーゼネコン・不動産会社・売買仲介・賃貸仲介・管理】

ニーズの変化によって業績を上げているリフォーム会社【不景気や構造部の性能向上】

不景気の継続や戸建てやマンションの骨組みの性能向上、設備メーカーなどの新商品開発などにより、リフォーム会社のニーズが高まっています。リフォーム市場の「いま」と「これから」を見ていきましょう。

リフォーム会社が伸びている理由

住宅業界の中で新築市場は低迷状態が続いています。一方でリフォーム会社の業績は安定し、リーマンショック以降少しずつ伸びています。その理由としては、「マイホームブームに建てた家が築30~40年になっている」ことを挙げました。

さらに消費者のニーズの変化も要因の1つに挙げられます。消費者は、リーマンショックやコロナ禍による不景気とも重なり「できるだけ長く使えるものを買う」「多少高くても品質のよいものを買う」という新たな価値観に移行しています。その結果、築年数よりもスペックなどを重視し、中古住宅を購入しリフォームする流れが増えています。

また、戸建てやマンションの骨組みである構造部の性能が向上し、建物の寿命もどんどん延び、しっかりとリフォームとメンテナンスをしていけば100年持つともいわれています。

そのほか、リフォーム市場の伸びに合わせて設備メーカーなどによって低価格の新商品の開発も行われています。リフォームが割安で気軽にできるようになっていることも要因の1つになっています。

消費者のニーズの変化

とくに団塊の世代が住宅を購入していた1960年代は、「マイホームブーム」の影署によって、品質よりも価格の安い住宅が求められていたが、1990年代のバブル崩壊を経て、人々の消費に対する考え方に変化が起こり、価格ではなく品質を重視した住宅が求められるようになった。

構造部の性能が向上

鉄筋コンクリート造住宅の耐震・断熱性向上や、木造建築の防耐火性能の進歩などが挙げられる。

建物の寿命

「建物耐用年数」と呼ばれる、住宅や建築物利用に耐えうる年数が指標となる。耐震性や経年劣化に加え、経済的理由や都市開発なども影響する。

リフォーム業界の今後

今後、余暇の増加に伴い室内で過ごす時間が増えることで、リフォーム業界はさらに伸びていくことが想定されます。反面、少子化に伴い日本の人口はどんどん滅少、新築市場はますます落ち込むでしょう。つまり住宅業界全体で見れば下降していくことは間違いありません。リフォーム業界が伸びていくとはいえ、楽観視はまったくできないのです。

リフォーム受注高の推移

リフォーム受注高の推移

リフォーム受注高の推移

リフォーム業界の需要増加の理由

リフォーム業界の需要増加の理由

リフォーム業界の需要増加の理由

設計事務所の仕事と業界内でのネットワークを知る【設計のプロ集団】

住宅メーカーや工務店が設計を委託している設計事務所。施主と打ち合わせをしながら見積りや予算を調整したり、設備などの仕様についての打ち合わせをしたりと設計以外にも多くの仕事をしています。

設計事務所の具体的な仕事

設計事務所は、「設計のプロ集団」です。事務所を1人で経営している場合と複数人で運営している場合があります。

規模の大きい住宅メーカーや工務店は自社で設計士を抱えていることもあります。しかし、多くの場合、建物の間取りは設計事務所や個人の設計士に委託しています。

自社で設計士を抱えている場合も、見積りを見れば「設計料」が必ず入っていますが、設計事務所に委託すれば設計料はより高額となります。施主の負担は大きくなるため、設計事務所の設計はデザイン的にも機能的にも優れたものでなくてはいけません。

また、設計事務所の仕事は図面を書くだけではありません。施主と見積りと予算を調整したり、設備などの仕様についての打ち合わせを行ったりします。

そのほか、実際の工事前後に「設計監理」も行い、建物が予定していた設計・図面通りに作られているかをチェックします。

設計のプロ集団

設計には、デザインや間取りを決める意匠設計、建物強度や構造解析を行う構造設計、配線やインフラ担当の設備設計がある。グループ系組織ではNTTファシリティーズや三菱地所設計、独立系組織では日建設計や日本設計などがよく知られる。

設計事務所と工務店とのつながり

前述した通り設計事務所は設計のプロです。他社と差別化を図りつつ、デザインや機能に優れた設計を目指します。しかし、自分たちの作った設計でレベルの低い施工をされてしまっては死活問題になります。そのため設計事務所と工務店はお互いに信用できる相手と仕事をすることが多く、業界内でネットワークができ上がっていることがほとんどです。

また、住宅メーカーは制約が多いため、自由度が低い傾向にあります。デザイン性が高い設計事務所ほど、小回りが利く地元工務店などと連携していることも特徴の1つです。

ネットワーク

住宅業界の低迷や現場の人手不足もネットワーク強化の要因として挙げられる。インターネットを介した情報の共有や実務者向けのセミナ一・勉強会を通した連携の強化が求められている。

設計事務所の業務

設計事務所の業務

設計事務所の業務

設計事務所と工務店

設計事務所と工務店

設計事務所と工務店

氾濫する住宅業界の情報

複雑な業界の構造によって誤った情報が定説化される

住宅業界はさまざまな業種・職種に分類され、かつ多様な建材・設備メーカーや職人によって支えられています。つまり、1つの建物を建てるのに多くの人・物が関わっているのです。

そのため消費者が業界を見ると非常に複雑に感じ、どうすれば自分たちにとって適切な住宅を建てられるのかがわかりにくいのです。時代とともに技術は進化し、情報はどんどんアップデートされているため、業界で働く従業員でさえ把握できていないこともあります。

この複雑な構造を持つ業界だからこそ、誤った情報が定説になってしまっていることも多くあります。たとえば「鉄骨」は「木造」より強度が高い、といわれています。同じ体積で素材の強度を比較すれば、当然鉄骨のほうが強いでしょう。しかし、建物全体の構造で強度を考えると話は変わってきます。まず木造のほうが骨組みに使用する量が多くなります。建物の強度には骨組みの組み立て方、厚み、金具、壁の量、基礎、など多くの要因が関わっています。そのため単純に鉄骨のほうが強度が高いとはいえないのです。

情報の精査と学び続ける姿勢が重要

しかし、鉄骨メーカーの営業マンなどから鉄骨住宅のほうが耐震に強い、という情報が発信されれば、疑うことなく鵜吞みにしてしまうことも多いでしょう。

この定説の複合的な要素を踏まえ、正しい情報として提供するなら「鉄骨のほうが使用する量が少ないため空間を広くできる」「鉄骨(重量鉄骨)のほうが上からの荷重に耐える力が強いため、4階建て以上のマンション・ビルには向いている」となります。

住宅業界で働く人たちは、氾濫する情報に疑いの目を向けながら、何が正しくて何が正しくないかを精査していくことが必要です。時代とともにアップデートされる情報を学び続けることが重要になります。

>>第12回:【住宅業界】建売住宅を一気に作るパワービルダー・住宅メーカーの利益構造を把握する【建売住宅・土地のみ・建築条件付き・住宅メーカーの原価・粗利益・紹介料】

TOP