第15回:【住宅業界】中古住宅の販売による収益【物件情報ネットワーク・レインズの活用・モデルハウス・ドミナント戦略・住宅展示場公園】

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中古住宅の販売による収益【物件情報ネットワーク・レインズの活用】

消費者のニーズが変化し、建物の寿命が伸びているため、中古住宅の売買は右肩上がりに上昇しており、今後も伸びていく可能性が高いでしょう。その中古住宅を扱う不動産会社はどのように利益を上げているのでしょうか。

中古住宅を扱う不動産会社の思惑

マンション・戸建てなど中古住宅の売買では、不動産会社は仲介手数料で収益をえています。そのため、なるべく買い手と売り手の両方から仲介手数料をもらおうと考えているのです。

また、なるべく取り引き額が土地・建物の相場よりも下がらないように(損しないように)しっかりと適正価格を分析して取り引きを行います。

適正価格

土地や建物の適正価格は、基本的に周辺地域の土地・建物の売値などから、当該物件の価格を分析する。中古住宅の場合、周辺地域にある築年数が同じくらいの建物の相場から、適正価格を把握する。

不動産会社のネットワーク

不動産会社の間には、「レインズ(不動産流通標準システム)」という物件情報ネットワークが存在し、そこに中古住宅や土地の情報を登録、公開することができます。この物件情報は基本的に不動産や住宅会社の関係者しか閲覧することができません。そのため、不動産会社は中古住宅を探している買主に対し、多数の物件をスピーディに紹介することができます。

逆に、中古住宅を売りたい売主に対しても、即座に情報を公開し、素早く買主を探すことができます。このシステムのおかげで不動産会社は多数の中古住宅の売買ができるようになっているのです。

中古住宅とリノベーション

また、近年の中古住宅の売買にはリノベーションもセットになってきています。不動産会社は物件を売って終わりにはせず、リフォーム会社と連携を取りながら紹介料としての収益を得たり、自社でリノベーションを手がけたりしているのです。

リノベーション

中古住宅に対して大規模な改修工事を行い、間取りや内装などを刷新し、その機能や価値を再生すること。

不動産流通標準情報システム「レインズ」

不動産流通標準情報システム「レインズ」

不動産流通標準情報システム「レインズ」

モデルハウスが並ぶ住宅展示場公園の仕組み【住宅メーカーが接客・営業に専念できる】

住宅メーカーや工務店は、毎月高額な賃料を支払ってモデルハウスを運営していますが、もちろん賃料以上のメリットがあるからこそ出店しているのです。そのメリットについて、解説します。

住宅展示場を運営する企業

住宅展示場公園(住宅展示場)を運営する企業には不動産デベロッパーが多く、とくに土地活用を専門にしています。彼らは自社で大きな土地を購入し住宅展示場を作ります。住宅メーカーや工務店から出店希望を募り、賃料をもらいながら運営していきます。

運営会社は土地の貸し出しだけでなく「集客」「企画」「市場調査」「情報収集」も行います。

たとえば集客のためのイベントを企画し、インターネットで告知したり、チラシを配布したりします。住宅展示場公園に来場した顧客の人数や客層などの情報を集め、出店している各住宅メーカーに共有もしています。また、定期的に住宅メーカーと打ち合わせを行い意見交換もします。

住宅展示場公園

住宅メーカーや工務店などが、1つのエリアにモデルハウスを建て、展示している場所。顧客が住宅の購入を行う際に、比較検討するため、実際に展示されている住宅に足を運ぶ。

住宅展示場に出店する住宅メーカー

住宅展示場に出店するためには、毎月何十万~何百万円という賃料が必要となります。それに、モデルハウス建設のために何千万円という投資をしなくてはいけません。もちろん、モデルハウスの常駐する従業員の人件費も発生します。出店するのは、規膜が大きい住宅メーカーに絞られるのです。

しかし、出店することができれば、集客は運営会社に任せることができるため、接客・営業に専念できるという大きなメリットがあります。また、出店するだけで地域に認知してもらうことができるため、ドミナント戦略として地域シェアの拡大を目指すこともできます。これは少子化や職人不足問題など、住宅業界が控える大きな問題に対抗するための基盤作りとなります。

モデルハウス

販促活動の一環として、住宅メーカーが住宅展示場や分譲地などに建てる住宅のこと。パンフレットや図面よりも、より住まいのイメージを伝えやすい。

ドミナント戦略

特定の地域に出店を集中させ、市場の独占を狙う経営戦略。市場の独占化のほかに、特定地域での知名度の向上や、物流の効率化といったメリットもある。

住宅展示場を運営する主な企業

サンフジ企画 総合住宅展示場企業では業界でシェアNo.1であり、自社運営しているのが特徴。土地活用に力を入れており、土地オーナーや住宅購入者へのサポートが手厚い
エー・ビー・シー開発 朝日放送グループの子会社として、住宅展示場の企画・運営を行う。新築からリフォーム、2世帯住宅など幅広い分野での住宅を扱っている
ファジー・アド・オフィス 用地開発、企画立案から運営までの広範囲をプロデュース。関東エリアを中心に多数の住宅展示場を開催してあり、各種イベントやセミナーも充実している

運営会社の取り組み

運営会社の取り組み

運営会社の取り組み

住宅展示場公園の課題

住宅展示場公園の課題

住宅展示場公園の課題

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