リフォーム売上の上位は住宅メーカーが独占する
リフォームの売上ランキングの上位は、大手住宅メーカーが独占しています。これは住宅メーカーが新築住宅を販売する際に用いているオリジナル工法が関係しています。
住宅メーカーがリフォームを独占する仕組み
毎年発表されるリフォーム売上のランキングは、大手の住宅メーカーが上位をほとんど独占している状況が続いています。注文住宅の売上ランキングに対して、リフォームのランキングに変動が小さいのは住宅メーカーが取っている販売戦略・仕組みに関係があるのです。
独占する仕組みには「住宅の保証」が関わっています。大手住宅メーカーでは販売している住宅に対し、基礎や柱、雨漏りなどの不具合に対して20~60年の保証期間を設けています(10年間は法的な保証義務があります)。この保証には条件があり「10年ごとに自社でリフォームした場合に限る」となっています。つまり、10年ごとに200万円前後のリフォーム費用を支払うことで、保証期間を追加できることになります。もし他のリフォーム会社にリフォームを依頼すれば構造部の保証は打ち切られてしまうため、建築した住宅メーカーにリフォームを依頼せざるをえないのです。
オリジナル工法のリフォームは敬遠される
大手住宅メーカーはそれぞれオリジナルの工法で住宅構造を作っていますが、場合によっては一部の建材がオリジナルだったり、内装の仕上げ部分に特徴・クセがあったりします。そのため、住宅メーカーの住宅において構造部に関わる大型リフォームを行う場合、ほかのリフォーム会社はやや敬遠する傾向にあるのです。
逆に住宅メーカーとしては、自社で建てた家を他のリフォーム会社がリフォームをした場合、適切なメンテナンスされたかがわからない以上、保証できないということになるのです。
住宅リフォーム売上ランキング
1 | 積水ハウスグループ(1414億円) |
---|---|
2 | 住友不動産(1243億円) |
3 | 大和ハウスグループ(1145億円) |
4 | 積水化学工業グループ(950億円) |
5 | 住友林業グループ(703億円) |
6 | ミサワホームグループ(671億円) |
7 | 旭化成リフォーム(583億円) |
8 | パナソニックホームズ(524億円) |
9 | エディオン(483億円) |
10 | 三井不動産グループ(468億円) |
住宅メーカーのリフォーム独占の仕組み
不動産会社が利益を上げるしくみ【仲介手数料を主軸にリスクを減らす】
不動産会社は、仲介手数料、売買のキャピタルゲイン、アパート経営などの賃料・管理代行の3つの軸で収入を得ていますが、近年はリスクを下げるため仲介手数料をメインにする会社が増えています。
収入の柱は仲介手数料
不動産会社の収入の軸は「仲介手数料」「売買のキャピタルゲイン」「アパート経営などの賃料・管理代行」の3つです。
仲介手数料の限度額は法律で定められており「(売買代金の3%+6万円)×消費税」となります。片手仲介の場合に3000万円の土地を売買すれば「(3000万×3%+6万円)×1.1=105.6万円」の収入です。また土地の売主が別にいる両手仲介の場合は、片手仲介の2倍の仲介手数料を得ることができます(最大211.2万円)。仲介手数料はいっさい原価がかからず、土地や建物を所有していなくても収入を得ることができるので、リスクがなく営業が可能になります。
仲介手数料
不動産の売買契約が成立した際に、不動産会社に支払われる成功報酬を「仲介手数料」という。仲介手数料は、宅地建物取引業法により、その上限額が定められている。
リスクが高いキャピタルゲインと賃料
建物・土地を安く仕入れ少しでも高く売ることによって発生するキャピタルゲイン。これは不動産会社にとって大きな収入の柱になる可能性が高いですが、建物・土地を所有することには大きなリスクが伴います。災害リスクはもちろん、風評被害や周辺環境の変化による地価の下落など、リスクはさまざまです。とくにバブル崩壊やリーマンショック以降はなるべくリスクを避けるため、仲介手数料を主軸にする不動産会社が増加しています。
売買同様に不動産会社がアパート·マンションを経営して賃料を得るにも、建物·土地を所有するためリスクが伴います。また、アパート経営はさまざまなクレーム対応など簡単に解決できない問題も発生するため、かなり大変です。そのため、賃貸をメインで行っている不動産会社が物件を所有せず、オーナーのかわりに管理を行うことが多くなるのは必然といえます。
キャピタルゲイン
株式や債券、不動産投資などにおいて、資産を保有していることで得られる売買差益のこと。不動産を購入したときの価格よりも売却したときの価格のほうが高かったときに利益が発生する。
不動産会社の収入の軸
仲介手数料の最大化
>>第15回:【住宅業界】中古住宅の販売による収益【物件情報ネットワーク・レインズの活用・モデルハウス・ドミナント戦略・住宅展示場公園】