第33回:【住宅業界】住宅建設の施工にかかる完成までのステップ・解体工事の内容と必要となる手続きや工具【地盤調査・地盤改良工事・大工工事(木工事)・日立建機・クボタ・川崎重工・重機・リサイクル法・外構・解体業者】

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住宅建設の施工にかかる完成までのステップ【施工別フローチャートで理解】

住宅メーカーの施工方法には、3カ月ほどで住宅が完成してしまうものから、施工完了まで1年近くかかるものまでさまざまな種類があります。ここでは平均的な工期を例に住宅完成までの流れを解説します。

工期や着工前の準備

新築の工期は住宅メーカーの構造によって大きく異なりますが、おおよそ4~5カ月ほどが平均といわれています。

着工前にはいくつか必要な準備があります。建てかえの場合は既存住宅の解体からスタートします。

解体が完了して更地になったら、次は専門業者による第三者の判断が必要となる地盤調査を行います。その際に地盤が緩い場合は補強用の杭を打つなどの地盤改良工事を行います。

その後、仮設トイレの設置や電気や水道の確保など仮設工事をして着工前の準備が完了します。

地盤調査

荷重や沈下の程度を調べ、地盤の強さを測るための調査。民間の地盤調査会社や、施工を請け負う建築会社が行う。

着工から外構工事

着工は建物の土台となる基礎工事から始まります。基礎工事中はほかの工事はいっさいできません。基礎のコンクリートが乾いて完成したあとは、大工工事(木工事)が始まります。大工工事では木造軸組工法の場合、1日で柱から屋根までを組み上げます。

大工工事で内部の下地などを進めながら同軸でドアやサッシなどの建具や床フローリングの設置、屋根材や外壁材の施工も進めていきます。また、一部ユニットバスやキッチンなどの大型設備も内装工事の前に設置を完了させます。

大工工事が完了したら、クロスなどの内装工事が始まります。そして内装工事完了後に洗面化粧台やトイレなどの設備を設置していきます。なお、電気・水道などの配線・配管工事は着工から内装工事完了までの間に工事を進めていきます。

内装・設備工事が完了したら、施主検査を行い、引き渡しとなり、その後外構工事が始まります。

大工工事

木材を扱う工務の総称。木材の加工や木工作物の築造、組み立てや取り付けなどが挙げられる。

住宅建設の施工別フローチャート

住宅建設の施工別フローチャート

住宅建設の施工別フローチャート

解体工事の内容と必要となる手続きや工具【専属の解体業者が行う】

新築でも建てかえを行う場合は、既存住宅の解体工事が必要になります。解体作業は、近隣に危険が及ばないことや、なるべく騒音や通行を妨げることなど、迷惑がかからないように配慮することが多くあるのです。

解体工事の流れ

解体工事はユンボと呼ばれるパワーショベルなどの重機が必要になります。また、工事前には多数の許可をえる必要があったり、さまざまな資格が必要になったりします。そのため、一般的には解体工事は専属の解体業者が行います。

工事前に解体業者はさまざまな届出を行い、行政から許可をえる必要があります。たとえばリサイクル法の届出や道路使用の届出、騒音・振動の届出などが挙げられます。また近隣に対し騒音などで迷惑がかかるため、近隣挨拶も行います。

施主は水道を除いたライフラインや電話・ケーブルテレビ・セキュリティサービスを止める手配が必要となります。実際の工事では、最初に足場を組み、解体物が周辺に飛び散らないように足場に養生シートを設置します。

その後、断熱材、建具、サッシ、石膏ボードなど建物内部で解体ができ、建設リサイクル法により分別が義務付けられているものは手作業で解体します。

そこからは重機の出番となり、本体から順に解体し、最後に土を平らにして完了となります。

重機

解体工事で使用される建設機械。長いアームで掘り進めるショベルカーや廃材の運搬に特化したダンプカーなどがその一種。主な重機メーカ一として、日立建機クボタ川崎重工などが知られる。

リサイクル法

建築業者に対して、工事で発生する建設廃棄物を分別し再資源化することを義務付けた法律。正式名称は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」。平成14年に施行。

住宅とメーカーと解体工事業者の提携

住宅メーカーの一貫施工に解体と外構は含まれません。しかし、住宅メーカーによっては提携している解体業者を使うように指定している場合があります。

その理由としては、中間マージンを取りたいという思惑のほかに、信頼できる解体業者に解体してもらいたいと考えていることが挙げられます。

外構

門やフェンス、植木、駐車場や庭などの建物の外周りの構造物。外観の印象を決めるほか、外部からの視線を遮るという防犯上の効果もある。

解体業者による解体工事の流れ

解体業者による解体工事の流れ

解体業者による解体工事の流れ

>>第34回:【住宅業界】基礎工事の役割と工事内容や近年の傾向・大工工事の工程や内容と職人たちの技術【地縄張り・遣り方工事・プレカット工法・布基礎・ベタ基礎】

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