第34回:【住宅業界】基礎工事の役割と工事内容や近年の傾向・大工工事の工程や内容と職人たちの技術【地縄張り・遣り方工事・プレカット工法・布基礎・ベタ基礎】

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基礎工事の役割と工事内容や近年の傾向【傾かず丈夫で長持ちさせる】

地震の多い日本の住宅にとって、土台となる基礎は非常に重要な役割を担っています。耐震性の高い住宅を建設するための、「基礎」を作る過程の工事内容について解説していきます。

基礎工事の流れ

コンクリートや鉄筋で作られる「基礎」は建物の力を地盤に伝え、建物を安全に支える機能を持ちます。その土台がしっかりしていれば家が傾かず、丈夫で長持ちします。

また、基礎工事の前には地盤調査にもとづき、強度が弱い地盤であれば地盤改良工事を行い、杭を打つ必要があります。

まず更地に対し、建物の範囲を示すために基礎の外周に縄やロープを使って印を付ける地縄張り・遣り方工事を行います。

次に重機を使って基礎の地盤まで土を掘り返します。

続いて地盤の耐久性を高めるために、砕石と呼ばれる細かく砕いた石を地盤全体に敷き詰める作業を行います。その後鉄筋とコンクリートの型枠を間取りに合わせて組んでいきます。

鉄筋と型枠が組み終わったら、コンクリートを型枠に流していきます。コンクリートを流したら、1~2週間の間乾かし、完全に乾いたら型枠を取り払い、基礎工事が完了となります。

地縄張り

縄を地面に張り建物の輪郭を可視化させ、敷地内における建物の配置を確認する作業。建築工事の最初に行われる。

遣り方工事

地縄張りで決めた配置を基準に、建物の位置や高さを決めて杭や板を張り巡らせる作業。

戸建てにおける基礎の種類

戸建ての基礎は「布基礎」と「ベタ基礎」の2種類です。

「布基礎」は建物の負荷がかかる部分にのみ「逆T字型」の鉄筋コンクリートを埋め込む工法です。旧来の日本家屋のほとんどはこの布基礎が採用されていました。

対して「ベタ基礎」は建物の土台となる範囲に鉄筋コンクリートを敷き詰める工法です。近年、注文住宅の多くはこちらを採用しています。建物全体をコンクリートで支えるため安定性が高く、地震の揺れや地盤が沈む不同沈下に強いという特徴があります。一方で、工事費用がやや高額になる傾向があります。

基礎工事の流れ

基礎工事の流れ

基礎工事の流れ

布基礎とベタ基礎

布基礎とベタ基礎

布基礎とベタ基礎

大工工事の工程や内容と職人たちの技術【住宅の工事においてもっとも重要】

住宅メーカーの現場監督よりも長く現場に常駐している大工。彼らは住宅の工事においてもっとも重要となる大工工事を担っています。ここでは大工の工事内容や範囲、工事の流れを解説していきます。

工事現場の指揮官補佐の役割を担う大工

注文住宅の工期はおおよそ4~5カ月が平均ですが、その期間中、もっとも長く現場にいるのは大工です。住宅メーカー社員の現場監督よりも長く現場に常駐しているため、実質的には指揮官のような役割を担っています。近年では木材の加工を工場で行うプレカット工法が主流のため大工工事が減少しています。

大工の仕事内容・範囲として重要なのは基礎の上に作る建物の骨組みを作ることです。また、壁・床・天井・屋根などの下地作りを行います。一般的な断熱材であれば大工が施工してしまいます。そのほか、ドアなどの建具を設置したり、サッシの内枠を設置したり、フローリングを貼るなど、マルチに作業を行います。

大工の下地作りの良否によって、設備の設置やクロスなどの内装に影響がでるため、大工仕事は非常に重要になるのです。

プレカット工法

施工用の木材にあらかじめ切断や加工を施す工法。効率的な作業と安定した品質を特徴とする。

大工工事の流れ

大工は最初、現場監督から依頼を受け、設計図・仕様書・工程表などを受け取ると、段取りを考えて監督と簡単な打ち合わせを行います。構造に関わる建材などのほとんどは、住宅メーカー側の現場監督が発注します。ただ、下地に使う石膏ボードやベニヤ板などの必要資材は大工が発注していることが多いです。

基礎が完成したら大工工事を行います。木造軸組工法(在来工法)であれば、8~10人前後の大工が一気に集められ、1日で骨組みから屋根までを組み上げ、上棟します。その後、2~3週間で大工2人ほどが壁や床の下地を作っていきます。徐々にほかの業者も現場に入ってきますが、同じ場所で作業が重ならないように、うまく空いている場所の作業を行います。

大工の仕事内容

大工の仕事内容

大工の仕事内容

大工工事の流れ

大工工事の流れ

大工工事の流れ

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