<<第12回:【住宅業界】建売住宅を一気に作るパワービルダー・住宅メーカーの利益構造を把握する【建売住宅・土地のみ・建築条件付き・住宅メーカーの原価・粗利益・紹介料】
工務店が利益を得る仕組みと大規模な住宅メーカーとの違い・ビジネスモデル【広告宣伝費を抑えてロコミを伸ばす】
同じ建材や設備を大量に仕入れることができない工務店。仕入れの際に粗利を確保するほかに、規模の大きな住宅メーカーやリフォーム会社の事業でも収入を得ています。工務店のビジネスモデルを見ていきましょう。
仕入れコストでは不利な工務店
工務店は住宅メーカーよりも粗利益を確保するというポイントにおいては不利な部分があります。
工務店に限らず、住宅メーカーやリフォーム会社では、住宅の建材、設備を問屋を通してメーカーから仕入れます。その際、商材によって定価に対する掛け率が決まっています。たとえば定価20万円のトイレの掛け率が50%ならば、工務店は10万円で仕入れることができます。そして仕入価格に工務店が5万円の粗利益を乗せて、15万円で見積りに加えます。
規模の大きい住宅メーカーやパワービルダーならば、同じ建材や設備を大量に仕入れることができるので、仕入れコストを抑えることができます。しかし規模の小さい工務店ではそれができないため、粗利益では不利になってしまうのです。
利益確保のための努力
工務店では住宅メーカーと比較して粗利益を確保するのは不利になるため、純利益を伸ばそうとするならば、当然、費用を下げるしかありません。もっとも優先して下げるのは広告宣伝費です。規模の小さな工務店は、広告を最小限に抑え、なるべく地域に密着してロコミから受注につながる努力をしています。またコストのかからないSNSも、宣伝に活用する必要があるでしょう。
工務店では職人を雇用していることや、そもそも社長が職人ということもあります。その場合は、住宅メーカーと比較して工事費を抑えることができるようになります。また工務店は規模の大きい住宅メーカーやリフォーム会社から工事の施行を受注することで、副業のように収入を得ていることもあります。
広告宣伝費
新規の顧客獲得のために、広告や宣伝を行う際にかかる費用。
建材・設備の仕入れと販売の流れ
工務店の現実と2つの対策
リフォーム会社の利益構造とリフォーム専門業者の特徴
蓋を開けてみないと正確な工事費がわからないリフォーム。住宅メーカーや工務店と同じ収益の仕組みを持ちつつも、粗利を多めに上乗せして見積りを作成している点など、異なる点がいくつかあります。
リフォーム市場の特殊な粗利益
リフォーム会社も住宅メーカーや工務店と同様に、建材や設備は問屋から安く購入し、粗利を上乗せして販売しています。また工事を依頼する外部の職人に支払う工事費にも粗利を上乗せして見積りを作成します。その粗利益はおおよそ30%前後です。
ただ、住宅メーカーや工務店よりもその利益率はやや高く設定されています。
リフォームの場合、壁の中や設備の裏・床がどうなっているのかなど壊してみないとわからないことが多くあります。
つまり、蓋を開けてみないと正確な工事費がわからないのです。施主には事前に見積りを提示しますが、工事中に毎回追加料金を取るわけにはいかないため、リフォーム会社は最初から少し多めに利益を乗せています。
上乗せ
すでにある金額に、さらに付け加えること。住宅業界では、建材・設備・工事費などの諸経費に25~30%の粗利益を加えて売上を計上する利益構造が一般的となっている。
塗装や外構などの専門業者
リフォーム会社の中にはどんなリフォームもすべて請け負う会社と、塗装や外構などを専門に行うリフォーム会社があります。
どんなリフォームも対応する会社は、大型リノベーションなど複数の職人や業者を管理できるため、顧客から見たら気軽に相談できるメリットがあります。
一方、塗装や外構などの専門業者は、自社で職人を抱えているため中間マージンが不要となります。
そのため事業を比較的安く提供でき、かつ利益を残しやすいというメリットがあります。しかし、監督する立場の人がいないため、会社によって施工や対応のムラが大きくなるというデメリットがあります。
リフォーム会社
住宅の内装や外装を改装・改築する業者のこと。リフォーム会社は、住宅の老朽箇所の修復といった身近な作業から、増築や間取りの変更のような大規模なリフォームまで手がける。
専門業者
塗装や外構など、建築の部分的な施工を専門的に請け負う業者のこと。
リフォーム会社の利益構造
リフォーム会社によるリフォームと専門業者によるリフォーム
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