第5回【保険業界】海外進出に活路を見出す保険会社・ネット専業生命保険会社の躍進【アクサダイレクト生命・ライフネット生命・楽天生命・SBI生命】

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海外進出に活路を見出す保険会社【生命保険会社、損害保険会社ともに海外市場へ】

国内の保険市場は少子高齢化による人口減少や自動車保有台数の低下などから、保険料収入の増加は難しいと予測されています。そこで各社は人口増加や経済成長が見込める国をメインに、海外進出に取り組んでいます。

生命保険会社の海外事業展開

日本国内では、今後、国内市場が縮小することが見込まれます。そこで第一生命などの4大生保各社は海外生命保険会社の買収を積極的に行っています。

グローバルに事業を展開しているヨーロッパの生命保険会社では収入の5割から8割を海外事業から得ており、日本の生命保険会社でもその傾向を強めていくと予測されます。

第一生命ホールディングスでは、アジア市場を成長市場と位置づけてベトナムやインド、タイ、オーストラリア、インドネシアに事業を展開しています。

2013年から2017年の各国の生保市場規模の成長率をみると、日本はマイナス圏にあるにも関わらず、ベトナムは250%、インドネシアは150%を超えているなど、今後も大幅な市場の拡大が見込めます。

海外生命保険会社の買収

例えば、第一生命ホールディングスではアメリカや東南アジアなどの保険会社の買収に積極的で、グループ全体に占める海外事業の利益の割合は2割まで増加している。

国内以上の成長率がある市場に投資する損保各社

すでにマイナス成長になっている日本国内の生命保険に対し、2017年時点で損害保険は国内で約20%の成長率があります。しかしアジア各国の成長率はそれ以上に顕著であるため、大手損保各社は海外損害保険会社の買収などの投資を積極的に行っています。2018年に3メガ損保グループはいずれも「2020年以降は最終利益のうち海外比率を4割に引き上げる」という声明を発表しました。

3メガ損保グループの1つSOMPOホールディングスでは、2018年度の海外事業の収入保険料が約5,276億円と公表しており、8年間で8.2倍近い成長を遂げています。

海外損害保険会社の買収

SOMPOホールディングスの海外事業を担うSOMPOインターナショナルは、2018年現在12力国で事業を展開している。将来的にはこのセグメントでグル一プ全体の4割の利益貢献を目指している。

成長率の高い海外市場へ積極的に進出
成長率の高い海外市場へ積極的に進出

成長率の高い海外市場へ積極的に進出

ネット専業生命保険会社の躍進

インターネットを主な販売チャネルとした生命保険会社が誕生したのは2008年でした。2019年現在、インターネットチャネルを活用する生命保険会社は9社、ネット専業生命保険会社は4社存在します。

存在感を増すネット系生保

日本で最初に設立されたネット専業生命保険会社はアクサダイレクト生命でした。その翌月にライフネット生命が設立され、楽天生命SBI生命と続きます。ネット専業生命保険会社の新契約年換算保険料は年々上昇しています。

ネット系生保のメリット・デメリット

ネット専業生命保険会社のメリットは、「手続きの容易さ」と「保険料の手頃さ」です。対面販売と異なり、手続きはインターネット上で完結することから、時間を選ばずに保険に加入でき、働き方が多様化している現在のニーズにマッチしているといえます。

また、営業社員の人件費がかからないこと、営業所の家賃などの固定費も必要ないことなどから事業費率が低く保険料も手頃です。

これらは大きなメリットであり、それによってネット専業生命保険会社は普及しましたが、問題点もあります。それは契約変更や、保険金や給付金支払いなどの手続きを自分で行わなければならない点です。対面型販売の場合は、定期的に営業社員や外交員が訪問し、近況を確認するなどのサービスが提供されているため、契約変更や保険金や給付金の請求手続きにもれが生じにくくなっています。

しかし、ネット専業生命保険では、自分自身が保険金や給付金が支払われる条件を把握したうえで、手続きを行わなければなりません。手厚いサービスを期待している、手続きに不安があるという人にとっては、最適な販売形態とはいえません。ネット専業生命保険に加入する際は、保障内容を自分自身で把握しておくこと、手続き方法を理解しておくことなどの対策が求められます。

>>第6回【保険とは】保険の始まり・保険の仕組みは相互扶助が基本【収支相等の原則・公平の原則・機関投資家】

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