第8回:【住宅業界】2つの販売方法とターゲットの違いを知る【建売住宅・注文住宅・木造・鉄骨造・RC造・鉄筋コンクリート造・在来工法・2×4工法(ツーバイフォー工法)】

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2つの販売方法とターゲットの違いを知る

願客ニーズに合わせて、さまざまな住宅を提供している住宅業界。販売方法は「建売住宅」と「注文住宅」に分けられ、それぞれの建設過程には異なる特徴があります。販売方法の特徴を理解していきましょう。

建売住宅と注文住宅の違い

戸建ては主に「建売住宅」と「注文住宅」に分けられます。これらの建設過程には、異なる特徴があるため、関わる会社の特徴も大きく異なっています。

建売住宅を販売する会社は主に「パワービルダー」「不動産会社」「工務店」などです。とくにパワービルダーは、大きな土地を大量に購入し、分譲してから一気に住宅を建てて販売します。

そのため土地の仕入値や建材費を抑え、比較的に安く住宅を販売することができます。建売住宅は「戸建て+立地のよさ」というニーズを持つ顧客をターゲットにしているといえます。

一方で、注文住宅は主に「住宅メーカー」「工務店」などが販売を行います。顧客ひとりひとりの要望を聞きながら間取り・設備などを選択し、顧客に合わせた住宅を提供している点が特徴といえるでしょう。また、各世帯のライフスタイルに合わせた住宅を建てられる反面、建物の金額は高額になりやすいです。

注文住宅は「生活に合わせた住宅にしたい」というニーズや、すでに土地を所有している「建てかえ顧客」がターゲットとして挙げられます。

また、建売住宅の会社と注文住宅の会社では、社内部門の構成にも違いがあります。

住宅メーカーは顧客ひとりひとりに対応するため営業部・設計部の従業員が多いです。また、1棟1棟異なる間取り・設備・建材のため、現場を管理する監督も多くなります。

一方で、パワービルダーや不動産会社では土地の仕入が販売価格や売上に直結します。そのため、仕入れを担当する専門部隊があります。

建売住宅

建物と土地のどちらも購入する建築済みの新築一戸建てのこと。分譲地に建てられていることが多く、交通機関や公共施設などが充実している。

注文住宅

土地探しから住宅の設計、建築まで行う新築一戸建てのこと。設計時の自由度が高く、理想の家作りができる反面、料金は高額になる。

建売住宅と注文住宅の2つの販売方法の違い

建売住宅と注文住宅の2つの販売方法の違い

建売住宅と注文住宅の2つの販売方法の違い

利益の確保を重視しつつ高品質な住宅を目指す建売住宅

20~30年前に大量に建売住宅が作られ、販売が強化された時代がありました。その時代は回転率を上げるために工期短縮が進められ、施工の質は悪いものが多くなりました。また、利益を確保するためより安い素材を使っていたこともあり、建売の品質は悪いというイメージが蔓延しました。しかし現在はしっかりとした品質の建売住宅も販売されるようになっています。

住宅の構造や骨組みの種類と特徴を把握する

さまざまなニーズに合わせて変化を続けている住宅業界。戸建て住宅と大型マンションでは構造が異なっていることも多くあります。住宅の構造や工法の特徴を知り、比較をしていきましょう。

軸組工法である在来工法と2×4工法

住宅メーカーにおける基本的な構造・骨組みは「木造」「鉄骨造」「RC(鉄筋コンクリート)造」の3種類です。それらをベースに、構造に工夫を重ねて差別化を図り、各メーカーが工法にオリジナルの名称を付けています。

木造の工法は、大きく分けて在来工法2×4(ツーバイフォー)工法の2種類になります。在来工法は日本の伝統的な工法で、基礎の上に柱や梁、筋交いなどを組み立てる方法です。設計や間取りの自由度が高くなるメリットがあります。

2×4工法は2×4インチの角材と合板をつなぎ合わせて、箱状の空間を作っていく工法です。2×4工法による住宅は「柱」というより「面」で作られた住宅、といえます。耐震、耐風に強く、ほかの工法と比べて施工が比較的簡単になるというメリットがあります。

木造

木材を主な材料とする建築工法。日本の一戸建ての工法の中では一般的とされる。

鉄骨造

骨組みに鋼鉄を用いる建築工法。部材は工場製のため品質が安定しており、強度や間取りの自由度が高い。

RC造

鉄筋の骨組みにコンクリートを流し込む建築工法。マンションや公共設備に用いられることが多い。

在来工法

柱・梁・筋交いなどの木材の組み合わせで支えを作る工法。日本古来の建築法を現代に応用させたもので、取り扱う業者が多い。

2×4工法

均ーサイズの角材を箱型に組み合わせる工法。19世紀に北米で生まれ、日本では1974年に三井ホームが初めてこの工法を用いた。

軽量・重量鉄骨とRC工法

鉄骨の中では軽量鉄骨・重量鉄骨の2種類に分かれます。鉄骨の厚みが6mm以上であれば重量鉄骨になります。重量鉄骨は軽量鉄骨に比べて、少ない本数で骨組みを作ることができます。そのため、メーカーは間取りの空間を広く取るために重量鉄骨を採用しています。また、重量鉄骨は戸建て住宅だけでなく、マンションにも使われています。

RC工法は鉄筋コンクリートを骨組みとした工法です。かなり高額になるため、戸建てで採用しているメーカーはとても少ないのが現状です。耐荷重は木造や鉄骨よりも大きくなるため、大型のビル・マンションなどに採用されています。

主要な住宅メーカーとオリジナル工法

工法 住宅メーカー オリジナル工法の名称
在来工法 住友林業 ビッグフレーム工法
ヤマダホームズ 木造軸組パネル工法
桧家住宅 ハイブリッド工法
アキュラホーム マルチストロング工法
2×4工法 ミサワホーム 木質パネル接着工法
一条工務店 ツインモノコック構造
三井ホーム プレミアム・モノコック構法
住友不動産 ウッドパネル工法
軽量・重量鉄骨 大和ハウス工業
積水ハウス βシステム構法
セキスイハイム工業 ユニット工法
旭化成ホームズ ハイパワード制振ALC構造
パナソニックホームズ 制震鉄骨軸組構造(HS構法)

各メーカーは既存の構造に独自の工夫を加えた「オリジナルの工法」を作り、差別化を図っています。

現場の作業を効率化するプレハブ工法

プレハブ工法は建物の一部、たどえば洗面室などを工場で作り、現場に運送し組み立てる工法を指します。つまり、ここでいう「工法」は、住宅の骨組みを作る際の「工法」とは異なる意味合いを持ちます。プレハブ工法を取り入れている主な住宅メーカーは、鉄骨系の大和ハウス工業と積水ハウス、木質系のミサワホーム、ユニット系のセキスイハイム工業の4社です。ユニット系とは、鉄骨フレームとパネルでできた箱を工場で作り、それを現場で組み合わせる工法です。

>>第9回:【住宅業界】古くからある地元工務店の現状【ZEH (ネット・ゼロ・エネルギーハウス)・フランチャイズ化・M&A・トヨタホームズ・職人不足問題】

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