住宅品質確保促進法によって10年保証されている【消費者は無償修理を求めることができる】
住宅瑕疵担保履行法は「住宅品質確保促進法」の1つです。住宅に品質の基準を設け、質のよい住宅が提供されるように消費者を守るために制定されているものです。その内容を見ていきましょう。
住宅品質確保促進法とは
1990年代に発生した欠陥住宅の問題に対処すべく、2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が施行されました。
施行された住宅品質確保促進法は、住宅に品質の基準を設け、質のよい住宅が提供されるように、消費者を守るための法律です。そして「10年間の瑕疵担保責任」、それから「住宅性能表示制度」「紛争処理体制の整備」の3つの軸から成り立っています。
とくに瑕疵担保責任の確立により、10年間の間に住宅に不具合があったとき、消費者は無償修理を求めることができるようになりました。
欠陥住宅とは
設計ミスや基準法違反などにより、安全性に欠けるとみなされた住宅。1995年の阪神淡路大震災により住宅の倒壊や火災が相次ぎ、社会問題として大きく取り上げられた。
住宅の品質確保の促進等に関する法律
2000年に施行された、住宅行政に関する法律。同年に改正された建築基準法で規定されているのは規格値のみであったため、新たに性能値を規定して建築基準法を補完するという目的があった。
住宅性能表示制度と紛争処理体制の整備
これは、構造耐力、省エネルギー性、遮音性などの住宅の性能に関する表示の適正化を図るために表示の方法、評価の方法の基準の共通ルールを設け、消費者による住宅の性能の相互比較を可能にするものです。
そして、第三機関の客観的な評価が必要であり、表示された性能を守るように義務付けられています。
この制度ができたあと、契約書には建物の耐震等級や省エネの能力などが重要事項説明として記載がされるようになりました。
また以前は住宅購入者と住宅メーカー間のトラブルが解決できない場合、裁判に頼るしかありませんでした。しかし、紛争処理体制の整備により、住宅性能評価を取得した住宅は、指定住宅紛争処理機関である各地の弁護士会を手数料1万円で利用することができるようになりました。
重要事項説明とは
宅地建物取引士の独占業務の1つで、取引に関する重要事項を顧客に説明する業務。権利関係や法令上の制限、契約条件などが重要項目として挙げられる。
住宅品質確保促進法
住宅品質確保促進法の3つの軸
省エネ基準の義務化が進む【省エネ基準に向き合う住宅メーカー】
地球温暖化防止のため、国は省エネ基準を改正し、より省エネ効果の高い住宅を普及させようという目的で省エネ基準の義務化を進めています。ここではその工程計画や基準の内容を解説していきます。
省エネ基準に向けた工程計画と延期
国は当初、2020年までに、延床面積2000㎡以上の大きい建物から300㎡未満の小さい建物の順番で「省エネルギー基準」を守った上で大型施設やビル、戸建て住宅などの建物を建設していくという工程計画を作りました。
延床面積300㎡以上のマンション・ビルなどはすでに基準が改正されスムーズに移行しています。ゼネコンなどの資金が潤沢な企業は問題なく対応できたのだと想定できます。
しかし、300㎡未満の戸建ての場合、2018年の段階で新築の約6割しか基準をクリアしていませんでした。そのため、急に基準を改正してしまうと経済的な悪影響が大きいとの判断で、300㎡未満の戸建ては、改正省エネ基準の義務化が延期されました。
省エネルギー基準
断熱化を初めとする、建物設備の省エネルギー性能を高めるための基準。「次世代省エネルギー基準」「住宅の省エネルギ一基準」とも呼ばれる。
省エネ基準はどんな基準なのか
省エネルギー基準は、1980年に作られ、2013年に改正が行われました。改正後の省エネ基準は「外皮の熱性能基準」と「一次エネルギー消費量の評価基準」がポイントとされています。
外皮の熱性能基準は、「隙間がなく断熱性・気密性を一定以上にする」というルールです。
また、日本の地域によって気温が違うため、地域を8つに分類し、それぞれの地域で基準値を設けました。一次エネルギー消費量の評価基準は「建物内部で使う一次消費エネルギーを、基準値以下にする」というルールです。
具体的には給湯器、エアコン、換気、照明などの設備を省エネ性能が高い製品に変え、効率化することで電気をあまり使わない家にすることが挙げられます。
外皮
外壁・屋根・窓などの建物の外周部分。外皮の熱損失量や日射熱取得量を求める際に、今までは床面積を用いていたが、外皮の総面積で求めるように改正した。
一次エネルギー
建物の利用に直接影響するエネルギー。一次エネルギーを消費する設備として、空調、換気、照明、給湯、エレベーターなどが挙げられる。
省エネ基準の今後
これからは300㎡末満の戸建ても含めて、すべての住宅において、省エネ基準が義務化となります。各住宅メーカーも懸命に基準をクリアできるように動いています。この義務化によって住宅だけでなく、大型施設やビルの性能もますます向上していくことが考えられます。
住宅の省エネ基準の工程表
改正後の省エネ基準の2つのポイント
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