行政や施主による住宅の検査と主なチェック項目【安心・安全な住居を提供する】
住宅の検査は主に行政が行う建築確認と引き渡し前に行う施主検査があります。建築確認は着工前に申請を提出し、工事完了後に完了検査をします。ここでは完了検査と施主検査の主なチェック項目を解説していきます。
建築確認における完了検査のチェック項目
工事完了後に行う「完了検査」では実際の建物が提出された図面や配置図通りに建っているのか、また法的に問題ないのかをチエックしていきます。
まずチェックすべき項目は敷地や敷地に対する建物の配置や大きさです。たとえば敷地内の擁壁や切土・盛土など安全性が確保されているか、また敷地に対して2m以上の道路が接道されているかなどです。
また、建ぺい率・容積率、道路・北側斜線規制などはクリアしているかどうかもチェックします。建物については、まず延床面積などの寸法や形状に問題ないのか、基礎の安定性、建築材料の品質に問題がないのかを確認していきます。
そのほか、日照率や換気などは基準をクリアしているか、消防法における防火対策、避難経路は確保できているのか、など細かくチェックしていきます。すべてのチェックが完了すると「検査済証」が発行され、登記や引き渡しができるようになります。
擁壁とは
擁壁(ようへき)とは、土砂の崩壊を防ぐための土留め(どどめ)として石やコンクリートブロックなどを使用した壁状の構造物。
建ぺい率とは
敷地面積に対する建築面積の割合。規定の数値を越えた場合は違反建築物に指定される。
容積率とは
敷地面積に対する延床面積の割合。延床面積とは、建物の各階の床面積の合計のこと。
施主検査の主なチェック項目
施主検査は、まず希望通りの設備や仕上げ材が使われているのかまた使用感に問題ないのかをチェックします。そのほかにも、外壁材や建具やクロスなどの傷がないのか、またコーキングなどの仕上げに問題がないのかを確認します。
各設備や、建具・サッシ・雨戸などの動作、フローリングに軋みがないかなども細かくチェックします。しかし、施主はあくまでも素人の検査です。住宅メーカー側がどこをチェックすべきかを伝えることも大切です。
完了検査とは
施主検査とは
住宅メーカーと顧客のジレンマ
住宅メーカーと職人の関係が見える工事現場
住宅業界の関係者は自身の住宅を建てる際、住宅メーカーを決定するため、必ず工事現場を事前に確認します。それほど工事現場は重要なのです。
しかし、なぜ住宅業界の関係者は工事現場を事前に確認するのでしょうか。それは工事現場を見ると、住宅メーカーがどれだけ質のよい職人を選抜しているのか、またどれだけしっかりと職人を教育しているかがわかるからです。たとえば「現場が整理整頓されていない」「職人が見える場所で堂々とタバコを吸っている」ということがあれば、それは住宅メーカーが現場を大切にしていないということです。放置された職人たちは、当然手を抜いて仕事をする傾向にあります。
また、住宅メーカーが職人たちをしっかりと指導している場合は「腕が悪い」「マナーが悪い」職人たちは離れていきます。現場を大事にしている住宅メーカーであれば、レベルの低い工事は必ずやり直しさせるからです。
気持ちの入った工事が夢のある住宅を作っている
住宅業界の関係者は現場が重要なことは十分わかっています。また住宅メーカー選びのコツが書いてある本などでも「現場を見る」ことが大切だと書かれています。
しかし、残念ながらこの情報や感覚は、顧客にはなかなか伝わっていません。
家探しをする人たちが抱く美しい外観や住宅性能、機能的な設備などに引かれる気持ちはよくわかります。しかし、それはしっかりとした工事があって初めて成り立つのです。住宅業界や家作りをしょうとする人たちに、現場主体の目線や考え方が少しでも浸透して欲しいものです。