<<第3回:【住宅業界】住宅業界はすべての産業に影響を及ぼす・少子高齢化による空き家問題【住宅ローン減税(控除)・すまい給付金・空家等対策特別措置法】
ユーザーニーズの変化に対応し生活しやすい環境を作る【セカンドハウスやDIY住宅】
ライフスタイルの変化により、家事の効率化を図った住宅が注目されています。また、田舎にセカンドハウスを持ち、二拠点生活を楽しむ人も増え、住宅の新しいニーズが生まれています。
多種多様な住宅のニーズ
夢のマイホーム時代は終焉を迎え、「夫が仕事をし、妻が家事・育児をする」という家庭も減少傾向にあります。
ここ30年でライフスタイルは大きく変わってきました。近年はオンライン化が進んだことで仕事や家事のあり方が変化しました。ライフスタイルは多様化し、自分らしさを追求する時代になったといえます。
コロナ禍の影響もありますが、オンライン化が進み在宅ワークが増えてきました。家にいる時間が長くなっている人も多いでしょう。そのため、都市に集中していた需要は郊外に移る傾向が続くことが考えられます。
また、近年では郊外の田舎にセカンドハウスを購入し、週末だけ田舎生活を満喫する二拠点生活(デュアルライフ)も注目され始めました。一方で、共働き家庭が今後も増えていくと予想されており、効率よく家事ができる環境へのニーズも高まっています。
セカンドハウス
自宅以外に所有する別の家。職場の立地による通勤の都合や、仕事において複数拠点を持つ場合に用いられる。
内型レジャーやDIYの需要が高まっている
今後の日本においては、共働き家庭が増えて労働時間が減少し余暇が増えることが予想されます。しかし、可処分所得が増加しない限り室内で余暇を過ごすことが多くなり、室内でのレジャー需要が高まってくるはずです。
最近では、工事の仕上げをセルフ(DIY)で行う中古住宅や、施主が大工を手伝って建てる新築まで登場しています。住宅メ一カーは施工費用が抑えられ、施主側は購入費を抑えつつ、自分らしい住宅に仕上げられます。また、DIYの年間総売上は毎年右肩上がりになっており、需要はますます高まるでしょう。
DIY
Do-It-Yourselfの頭文字を並べた言葉。木工作業や仕上げの作業などを自らの手で行うことを指す。
ライフスタイルの変化と住宅業界
新しいニーズに対応する住宅業界
ライフスタイルの変化がもたらす効果
頻発する災害や健康被害に対応しよりよい生活を提供する【住宅業界と法律改正】
日本には住宅に関するさまざまな法律があります。それらは、人々が健康に生活するために作られました。その法律をもとに、住宅業界は自然災害や健康被害に対応し、進化を続けています。
災害の対策に必要な住宅の要件
日本では、大地震や火災によって甚大な被害が発生するたびに、何度も法律を改正してきました。そして、住宅を進化させ少しでも被害を小さくしようと努力してきました。また、作られた建材によって健康被害が発生することが発覚したときにも懸命に対応し、改善してきました。
地震や火災から生命や財産を守るためには、「建築基準法」と「消防法」を厳守して家を建てる必要があります。「建築基準法」は主に建物の敷地・構造・設備および用途に関する最低基準を定めている法律です。たとえば建築基準法には「震度6強から震度7程度の地震に対して倒壊しない」という耐震基準があります。
また、火災に対しては建築基準法で「建物の避難経路を確保する、火が燃え移りにくいような内装仕様にする」と定めています。また、消防法ではさらに細かく、設備の設置基準や点検方法、警報器の設置などを定めています。
健康被害とその対策に必要な住宅の要件
これまでに、住宅における被害として有名なのが「シックハウス症候群」と「アスベスト(石綿)」です。
シックハウス症候群は壁紙などさまざまな建材に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質によってめまいや吐き気、皮膚炎などを引き起こすものです。これに対し、2003年に建築基準法が改正され、人体に影響がないように化学物質の濃度の基準値が設けられました。また、アスベスト(石綿)は断熱材などに使われていました。しかし発がん性が高いことが発覚し、2006年に建築基準法が改正され、使用が禁止されました。
シックハウス症候群
建物自体が人体に及ぼす健康障害。省工ネ化に伴う高気密、高断熱性がうまく作用されずに有害物質を家の中に溜めてしまうと発症することがある。
アスベスト(石綿)
天然の繊維状鉱物。熱や摩擦に強いことから1956年を機に多くの工業製品に使用されてきたが、発がん性が高いことが判明し、2004年に使用禁止となった。