<<第4回:【住宅業界】ユーザーニーズの変化に対応し生活しやすい環境を作る・住宅業界と法律改正【セカンドハウス・DIY住宅・シックハウス症候群・アスベスト(石綿)】
バリアフリー化や介護対策にビジネスチャンスがある【誰もが住みやすい住居】
多くの住宅メーカーがバリアフリー化を進めるために励んでいます。しかし、介護が必要になったとき、改めてリフォームしなくては対応できない住宅が多くあります。その現状を見ていきましょう。
住宅におけるバリアフリー化と介護対策の現状
2006年にバリアフリー法が制定されました。これは延べ床面積2000㎡以上のビルや病院など一定規模以上の建築物を対象とした法律です。そのため戸建・マンションの住居に対しての具体的な法律ではありません。高齢者や障害者が住みやすい住居は、施主や住宅メーカーに任せられているのが現状なのです。
日本では超高齢化に突入してから、バリアフリーという言葉が浸透するようになりました。それに伴い、各住宅メーカーもバリアフリーや介護がしやすい住居にする努力をしてきました。
しかし、実際には各居室の間の段差を減らし、階段や滑りやすい場所に手すりを設置する程度です。いざ介護が必要になった場合、ほとんどがリフォームして対応しなくてはいけなくなってしまうのが現在の標準的な住宅といえます。
バリアフリー化と介護対策
日本は国土に対する人口密度が高いため、どうしても2~3階建ての戸建が多く建てられます。階段がある以上バリアフリーや介護には適していません。
また、住宅を購入するときに将来介護が必要になるかはわからないため、高額なエレベーターやスロープの設置に踏み切ることは容易ではないでしょう。
高齢化がますます進む以上、バリアフリー化と介護しやすい住宅の需要はさらに高まっていきます。建築基準法も少しずつ改正され、法的に整備もされることが予想されます。これは住宅業界の課題の1つでもありますし、逆にいえば大きなビジネスチャンスでもあるのです。
バリアフリーの基準
バリアフリー化における課題
地震対策の性能も進化してきた!?
地震対策に力を入れる住宅メーカー
大きな地震が発生するたびに、建築基準法の「耐震基準」が見直され、住宅全体の耐震性能は少しずつ底上げされてきました。ただ近年は、大手住宅メーカーを筆頭に、メーカーごとの地震対策の性能も大きく向上してきています。それが「免振」「制振」という考え方です。
「耐震」は地震に耐えるように強固に作ることを指します。対して「免振」は地震で地面が揺れても建物に揺れを伝えない技術のことをいいます。また、「制振」は構造部分に制振装置を付けることで建物全体の揺れ幅を抑制する機能のことをいいます。
「振動するプレート」の上に建物を建てる
「免振」はとくに高層ビルや高層マンションなどに採用されている技術です。地震の揺れに合わせて振動するプレートの上に建物を建てることで、建物の揺れを吸収し抑える効果があります。
現在、この技術は高額帯の大手住宅メーカーによって徐々に採用され始めています。一方で、免振装置が高額であることから、一般にはまだ普及していません。
壁や柱の接合部に「クッション」を設置する
「制振」は壁や柱の接合部に設置する金属・ゴムなどの装置であるダンパーを複数個所に設置し、実現しています。
ダンパーがクッションの役割を果たすことで、建物の揺れを軽減してくれます。
近年この制振装置は、延床面積35坪ほどの戸建ての場合、40~50万前後と比較的安価で、多くの住宅メーカーや工務店を通じて、気軽に導入できるようになってきました。今後も技術の進歩とともに価格も緩やかに下がり、ますます導入しやすくなることが考えられます。
近い未来、地震による家屋倒壊のニュースがなくなることは間違いないでしょう。
>>第6回:住宅業界の構造を把握する【工務店・パワービルダー・住宅メーカー・鉄骨構造・木造構造・不動産デベロッパー・ゼネコン・設計事務所】