<<第1回:【保険業界】人生100年時代に求められる保険・契約高と保険料収入の推移【堅調な成長が続く生保と損保】所得補償保険・老後資金2000万円不足・私的年金問題・個人年金保険・正味収入保険料
再編を繰り返す激動の保険業界【損保業界は3メガ体制、生保業界は群雄割拠】
日本の生命保険業界、損害保険業界は再編を繰り返してきました。特に損書保険会社はたび重なる合併により、3メガ損保体制となっています。生命保険業界では、中堅生命保険会社の相次ぐ倒産による統廃合が進みました。
損害保険業界は盤石の3メガ損保体制
損害保険業界では2000年前半と2010年初頭の大規模合併、業務提携などにより3メガ損保体制が誕生しました。2020年現在は、東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS&ADホールディングスの3 つのグループが業界全体の9割弱のシェアを誇っており、それぞれのグループ内に複数の損害保険会社や生命保険会社を有しています。
また、ソニー損保やソニー生命を有するソニーフィナンシャルホールディングス、アクサ損保やアクサ生命を有するアクサ・ホールディングス・ジャパンなどは、知名度を伸ばしているものの3メガ損保には及ばず、通販型損害保険会社のシェアは全体の7~8%程度を推移しています。
通販型損害保険会社
インターネットや電話などの契約を主とする損害保険会社。代理店による募集が行われないため事業費率が低く、リーズナブルな保険料が特徵。
生命保険業界は、群雄割拠の時代
生命保険業界は、明治初頭から日本の生命保険業界をけん引してきた国内生保系、損害保険会社の子会社として誕生した損保系、外国資本が入っている外資系、異業種から参入したカタカナ系、ネットからの加入が可能なネット系、共済発展系などに分類されています。
それぞれ、募集形態や販売経路、主力商品が異なり顧客の棲み分けが進んでいます。
また、各社新商品や新たな保障の開発にも力を入れています。近年では就業不能保険や認知症保険を始め、毎年健康診断書を提出することで保険料が割引になったり、キャッシュバックされたりする健康増進型の保険などが次々に保険マーケットに投入されています。
共済発展系
共済が母体となり運営している保険会社のこと。
就業不能保険
病気やケガによって長時間働けなくなった際に収入が保障される保険。
損害保険業界の主なグループ勢力図
3メガ損保体制
東京海上ホールディングス | SOMPOホールディングス | MS&ADホールディングス |
---|---|---|
・東京海上日動火災保険
・日新火災海上保険 |
・損保ジャパン
・セゾン自動車火災保険 |
・三井住友海上火災保険
・あいおいニッセイ同和損害保険 |
※3メガ損保で業界全体の9割弱のシェア
ソニーフィナンシャルホールディングス | アクサ・ホールディングス・ジャパン |
---|---|
・ソニー損保
・ソニー生命 |
・アクサ損保
・アクサ生命 |
生命保険業界の主な分類図
国内生保系 | 損保系 | 外資系 |
---|---|---|
・日本生命
・第一生命 ・明治安田生命 ・住友生命 |
・三井住友海上あいおい生命保険
・SOMPO ひまわり生命 ・東京海上日動あんしん生命 |
・メットライフ生命
・アクサ生命 ・アフラック生命 ・プルデンシャル生命 |
カタカナ系 | ネット系 | 共済発展系 |
・オリックス生命
・ソニー生命 |
・ライフネット生命
・アクサダイレクト生命 |
みどり生命 |
※生命保険業界は募集形態や販売経路が異なり、棲み分けが進んでいる
2025年問題と2035年問題【団塊の世代と団塊ジュニア世代が高齢者になる】
保険業界では2025年問題と2035年問題が大きな脅威になると予測されています。2025年には団塊世代がすべて後期高齢者となり、2035年には団塊ジュニア世代が高齢者になるからです。
団塊世代のすべてが後期高齢者となる2025年問題
2025年問題とは、第一次ベビーブームにあたる団塊世代がすべて後期高齢者となることに伴って発生する諸問題のことです。2025年の後期高齢者人口は2,200万人以上と予想され、国民の約5分の1が後期高齢者となります。
2025年問題では、社会保障費の増大や介護の問題などがよく取り沙汰されますが、保険業界にも非常に大きな影響を与えると考えられています。なぜなら、総人口に占める割合が高い団塊世代が後期高齢者になると、新規保険契約が減少することによる市場の縮小やー層の競争激化などが考えられます。今後は厳しい経営を強いられる可能性があるのです。
後期高齢者
75歳以上の高齢者のことをいう。75歳を超えると複数の疾病を発症し自立した生活が難しくなるケースもある。
団塊ジュニア世代が高齢者となる2035年問題
2035年問題とは、団塊世代の子どもにあたる団塊ジュニア世代が、60歳以上になることで起こる諸問題のことです。団塊ジュニア世代は、総人口に占める割合が団塊世代に次いで多く、彼らのなかに定年退職者が出るようになると、2025年問題と同様に、新規契約の減少や、保険金請求の増加が懸念されています。さらに、2035年には団塊世代が平均寿命にあたる85歳に達します。また、その5年後の2040年には、団塊ジュニア世代が高齢者となり、1.5人の現役世代で1人の高齢者世代を支えなければならないという事態になります。
今後、生命保険業界も損害保険業界がたどったような大型再編が行われる可能性もあります。そのため生保業界は、損保業界を巻き込んだ生損保再編に舵を切るともいわれており、業界の動向から目が離せません。
高齢者
世界保健機構(WHO)では65歳以上を高齢者と定義している。
2025年と2035年の人口ピラミッド
>>第3回【保険業界】保険料の値上げラッシュ問題・保険乗合代理店の急成長【ほけんの窓口、保険クリニック、みつばちほけん、保険見直し本舗、イオンの保険相談、ほけん百花】