第50回:【住宅業界の動向と今後の課題】欠陥住宅問題と悪質リフォーム業者への対応・健康・介護を考慮した住宅設計【住宅トラブル・施工不良・施工ミス・バリアフリー住宅・介護しやすい住宅設計】

<<第49回:【住宅業界の規則・法律・税制】国土交通省の告示による安心R住宅制度・住宅ローン減税による促進【ホームインスペクション・現況写真情報・住宅借入金等特別控除・適用条件・期間・控除】

欠陥住宅問題と悪質リフォーム業者への対応

昔から問題となっている欠陥住宅悪質リフォーム業者の問題は、いまだに相談件数は増加の一途を辿っている状況です。今後、国や住宅メーカーに求られる対応を解説します。

増加する住宅トラブルの相談件数

2019年ごろまで住宅トラブルの電話相談数は増加の一途を辿っています。新築・中古・リフォームともに増加傾向にあり、さまざまな要因が重なった結果でしょう。たとえば、相談窓口が増加し認知されるようになったのも原因の1つです。

また、インターネットで情報が簡単に手に入るようになったことで、施主が異常に気が付きやすくなったことも考えられます。そのほか、不景気による減収減益により住宅メーカー側が強引な営業をかけたり工期を短くして回転数を上げたりしたことや、職人不足なども影響しています。

悪徳業者が増加しているわけではないですが、この問題は根深く解決が難しいといえるでしょう。

住宅トラブル

水回りの不具合や窓の取り付け不良など、施工ミスが発覚することがある。図面や書面での確認を徹底したり、施工完了前に現場見学をしたりすることで施工ミスを減らせる。

欠陥住宅や悪質リフォーム業者への国の対応

注文住宅の場合、購入後10年間の瑕疵担保責任が付くので、瑕疵があってもその責任は住宅メーカーに改善義務が発生します。また、建売やマンションでも2年間の瑕疵担保責任が付きます。

しかし、中古物件の購入ではしっかりとした瑕疵担保が付きません。そのため、2018年にホームインスペクションの告知が義務化されました。これにより、中古物件の売買では第三機関に住宅診断を行ってもらい、その結果を買い主に説明する義務ができたのです。

また、リフォームにおいては相談窓口を各都道府県、政令市ごとに1カ所以上設置し、リフォーム専用の瑕疵保険の加入を推奨、リフォーム業者へ保険の説明が義務付けられました。

住宅の新築・リフォームにかかる相談件数の推移

住宅の新築・リフォームにかかる相談件数の推移

住宅の新築・リフォームにかかる相談件数の推移

住宅トラブルの増加の原因

住宅トラブルの増加の原因

住宅トラブルの増加の原因

健康・介護を考慮した住宅設計【問題が表面化する前に対策】

過去に発生した健康被害が再発しないよう、法律が作られ改善されてきましたが、日本は世界でも類を見ない超高齢社会に突入しています。今後は、ますます健康や介護を意識した住宅設計が求められるでしょう。

健康・介護に関して受け身の住宅設計

今までは、アスベスト(石綿)やシックハウス症候群など、実際に健康被害が発生してからその対策がなされてきました。また、バリアフリー化においても、介護の問題が表面化したことで一気に改革が進みました。現在では、浴室とほかの居室との温度差で起きるヒートショックが大きな問題となっていますが、改善が進みつつあります。

今まではこのように問題が表面化してから改善が進んできましたが、今後は積極的な健康・介護を考慮した住宅設計が進んでいく見込みです。

新しい健康を意識した住宅

ウィズコロナ時代に突入しリモートワークが普及しています。当然室内の滞在時間が増えるだけでなく、デスクワークなど椅子に座っている時間も増えるはずです。椅子に長時間座ることで寿命が縮むという研究もあるくらいですので、適度に休憩を挟み、運動することが非常に重要になります。

つまり、今後は室内でもアクティブに体を動かしたり、体の負荷がかからない姿勢を維持できたりするような健康を意識した住宅設計が必須になってくるでしょう。また、室内でストレスが緩和できるような自然を取り込むことも新しい住宅の形になるかもしれません。

超高齢社会に伴い、今後は2世帯だけでなく、3世帯住宅も増加していくと予想されています。そこで、家族で一緒に運動できるスペースの確保や、より介護しやすい住宅設計の需要が高まってくるでしょう。

リモートワーク

政府は、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的としたリモートワークやテレワークを強く推進している。2020年のリモートワーク普及率は、従業員1万人以上の企業間において、45%ほどになった。

問題を改善することで生まれる新しい住宅設計

問題を改善することで生まれる新しい住宅設計

問題を改善することで生まれる新しい住宅設計

新しい時代に合わせた住宅の形

新しい時代に合わせた住宅の形

新しい時代に合わせた住宅の形

>>第51回:【住宅業界の動向と今後の課題】建築基準法の改正と違法建築問題・3Dプリンター住宅と建設ロボットの介入【建築基準法違反・3Dプリンター戸建て住宅・建設ロボット】

TOP