連帯が不可欠な設備工事の内容と職人たちの技術【コミュニケーションを図る】
住宅にはキッチン・トイレ・ユニットバスなどの水回り設備や、換気・空調などの設備があります。近年は設備がどんどんと高性能化してきたため、設備業者の仕事量や難易度も上昇傾向にあります。
設備業者が行う工事の範囲
設備工事は水回り設備や換気・空調設備を設置する工事のことを指します。キッチンや洗面化粧台、ユニットバス、空調設備は複雑な構造になっており、数ミリのズレで設置できなくなってしまうこともあります。そのため、仕様打ち合わせの段階でしっかりとした設備用の図面ができ上がっています。
また設備にはキッチンのように大きなものもあります。これらは搬入経路を計算してバラバラに梱包されています。
そして、設備業者は現地で図面を確認しながら、組立て・設置を行います。また、設備業者は設備に付属しているシステム収納やキッチンパネル、トイレ室の手すりなどの設置も行います。設備業者の職人にはマルチな技術が必要なのです。
搬入経路
家具や設備を所定の場所まで運ぶ際の通路、動線。幅や高さ、奥行きを計算した設備設計をすることが重要。
設備工事の流れ
新築の場合、設備の設置は石膏ボードやベニヤ板の下地が完成し、電気・給排水の配線・配管ができてから、順次進めていきます。クロスなどの内装工事の前に設置するものと、内装工事のあとに設置するもので設置の順番が分かれています。
また、作業の順番は、たとえばキッチンであれば物を下に落としても大丈夫なように、レンジフードや吊戸棚など高い位置のものから先に設置しています。設備をしっかりと固定し終わったら、水回りであればコーキングなどの処理をして完了です。
水回りや空調・換気設備は給排水・電気・ガスなどのライフラ設備業者はほかの業者インとの接続が必要不可欠です。床のクッションフロアなどの仕上げ材や壁面クロスとの絡みがあるため、とコミュニケーションを図って作業を進める必要があります。
設備業者が行う工事
設備工事の流れ
専門の電気業者が行う電気工事の手順や内容【専用回線が必要な設備も多い】
住宅の電気工事を行うには「電気工事士」の資格を保有している必要があります。近年の新築では住宅設備を稼働させるのに電気が必要になることも多く、「電気工事士」の仕事の幅が広がっています。
電気業者が行う工事の範囲
新築の電気工事でまず必要になるのが配線工事です。外部から配電盤(ブレーカー)まで電気をつなぎ、そこから水回りから空調・換気などの設備関係、それから照明器具、スイッチ、コンセントを設置する場所などに配線を行います。
また、近年では食洗器や浴室暖房機など専用回線が必要な設備も多いため、非常に複雑な配線を整理しつつ納めていきます。もちろん、配線だけでなく、各設備が設置されたあとはその設備との接続も行います。
インターネットのLAN配線などの通信関係も電気業者が対応します。そのほかにも、インターホンの配線・設置、TVのアンテナの配線・設置など幅広い作業を行っています。
専用回線
同じ電気回路内のコンセントを同時に使用してブレーカーが落ちてしまう事態を防ぐために、消費電力の大きい設備に対して設ける専用の電気回路。
LAN配線
パソコンやルーターなどの電子機器間をつなげる配線。有線LANを壁の中に配列することで通信が安定し、見映えも整えられる。
電気工事の流れ
電気工事は、前もって作られた電気図面をもとに進めていきます。電気図は設備の位置はもちろん、ブレーカーから照明・コンセント・スイッチまでの配線方法もすべて記載されています。
電気業者は建物の柱や床が組み上がってから、配線をつないでいきます。始めに、ほかの業者が電気を使えるように仮のコンセントや照明を設置します。
そのあと、大工が石膏ボードなどの下地を作ります。続いて照明・コンセント・スイッチ・設備と配線を接続できるように下地に穴をあけて、部品を設置する作業を行います。
最後に、設備が設置されたあとに設備と接続し、クロスなどの内装が終わってから、照明・コンセント・スイッチなど残りの部品を設置して完了です。
電気業者が行う工事
電気工事の流れ
専門の水道業者が行う水道工事の内容と流れ【給水の確保や生活排水経路の接続】
住宅におけるライフラインの1つである給水の確保や生活排水経路の接続など、水道工事はなくてはならない工事です。また水道工事を行う人は資格が必要となるため、水道工事は専門業者が行っています。
水道業者が行う工事の範囲
水道業者が行う工事は大きく分けて2つあります。道路にある給水・排水管を敷地内に引き込む工事と、給水・排水管を建物内に配置する工事の2種類です。
分譲地など新しい土地の場合は、敷地から一番近くの給水・排水管から引き込みます。また、このとき1つの敷地に対して給水・汚水・雨水のマスも新規に設置します。
また、建物内の給水設備・排水設備・給湯設備などへの配管や接続工事も水道業者が行いますが、この工事代金は住宅メーカーの見積りに加わっています。
分譲地
広い土地を不動産会社などの業者が購入し、複数に区分して再度販売される土地。
水道工事の流れ
新築における給水・排水管を建物内に配置するための水道工事は、土台となる基礎が完成してから進めていきます。
ほとんどの給水・排水管は床下を通して配管するため、基礎が完成してすぐに給水・排水の工事を行います。仮に基礎の上に1階の床を施工してしまうと、床下が隠れてしまい配管工事ができなくなってしまいます。
また、建てかえで、敷地内の古い配管やマスを交換する場合もこのタイミングで工事を行っていきます。
大工工事が進んできたら、設備に合わせて床下の配管を建物内部に引く作業を行います。とくに2階部分にあるトイレや洗面などが多い場合は作業が増加していきます。
水回りなどの各設備への給水・排水の接続は、配管をしっかりやっておけばあとは設備業者が対応することになっていますが、多くの場合、水道業者も最終の確認を行っています。
マス
種類別に水を流すために設けられる排水設備。排水管の合流部や土地の勾配が変化する地点に設置される。