<<第34回:【住宅業界】基礎工事の役割と工事内容や近年の傾向・大工工事の工程や内容と職人たちの技術【地縄張り・遣り方工事・プレカット工法・布基礎・ベタ基礎】
足場組立工事の重要性や守るべき規定【建設業従事者の命を守る】
住宅の工事に足場の組み立ては必要不可欠です。足場工事は基本的に足場専門の業者が対応しています。ここでは足場が必要な工事の種類や工事の流れ、また安全性確保に関して解説していきます。
足場が必要な仕事
足場は新築戸建ての場合、基礎の土台ができ上がってから骨組みから屋根までを組み上げる上棟(木造軸組工法の場合)の前に設置されます。
また、外壁や屋根工事が完了したあとに足場を解体するという流れが一般的です。これを先行足場といいます。
新築戸建て以外にも、足場は外壁や屋根塗装などのリフォームやメンテナンスでも利用することがあります。
ときには太陽光パネルの脱着工事や雨樋の交換などの高所作業、住宅の解体作業でも設置されます。
足場工事の流れ
足場の工事はまず、足場業者である足場屋が敷地の現場調査に入り、新築ならば図面などを確認して足場の必要量を確認します。なお、リフォームであれば近隣挨拶を行います。
準備ができたら足場の組立作業に入ります。作業自体はおおよそ3~4人で半日と少しあれば組み上がります。
また足場を周辺に粉塵や部材が落ちないようにしっかりと養生シートを貼ります。その後、高所作業が不要になれば足場を解体します。設置と解体の作業時間には、ほとんど変動はありません。
近年の建設業における死亡事故は「墜落・転落」がもっとも多くなっています。つまり工事現場における足場の安全性はとても重要なのです。そのため、安全性を確保するためのガイドラインが設けられています。たとえば、設置時に手すりを先に設置する「先行工法」や「足場は40cm以上の幅を取る」などの細かい基準が設けられています。
近隣挨拶
新築の場合は着工前に挨拶を済ませているため、足場業者が近隣挨拶を行うことはない。
粉塵
空気中に浮遊する、粉のように細かい塵状の粒子。切断作業やドリル作業などにおいて頻繁に発生する。吸引機やミスト噴射装置などを用いて防塵対策を行う必要がある。
さまざまな工事で必要になる足場
足場の安全性確保のルール化
建具やサッシの設置にかかる工事の内容【難易度が高く複雑な作業】
建具工事とは、建物の開口部に木製や金属製の建具を設置する工事を指します。木製建具には室内のドアや襖などが、金属製建具にはアルミサッシ、玄関やバスルームなどのスチール製のドア、網戸などが含まれています。
建具工事を施工する職人
建具には木製と金属製があります。木製の室内ドアは大工が施工し、アルミサッシは専門のサッシ業者が施工します。木製の建具は、以前は専門の建具屋が現場で木材を加工して設置していました。
しかし、現在では建具メーカーが工場で作っている規格サイズ、または、オーダーサイズの建具を注文し、大工が設置するのが一般的です。そのため、建具職人は大幅に減少し、残った職人はリフォーム業界で活躍しています。
アルミサッシ
素材にアルミニウム合金を使った窓枠。日本ではほぼすべての住宅に普及している。耐久性のよさ、軽さが特微だが熱伝導性が高く結露の原因となっている。
建具工事の流れ
木製も金属製の建具も工事の流れはほとんど同じです。ここではサッシの施工を例に挙げて説明します。
まず建物の柱が組み上がるとサッシやドアが収まる開口スペースが作られています。サッシの場合は建物の外周部になるので、その開口部外側からサッシ枠を設置します。そしてフィンと呼ばれる外側部分を専用の釘で固定します。
次に、サッシ枠を内側から上下左右をビスで固定します。このとき少しのズレが大きな影響を与えるため、サッシ枠が水平・垂直に固定されていることを必ず確認しています。そして、サッシ枠に窓ガラスを取り付けていきます。木製のドアも同じ流れで、開口部に対して建具枠を取り付けてからドア本体を取り付けます。その後、窓枠になる化粧用の内枠を大工が取り付けます。
なお、住宅の中で建具設置は難易度が高く複雑です。1mmのズレによって、窓やドアが正常に開閉できなくなったり、鍵の開閉で引っかかりができたりするほど、シビアな作業です。
フィン
サッシの外側に使用する枠材。サッシのつばとなる部分で、窓枠の強化や雨漏りを防止する役割を持つ。
ビス
らせん状の溝が彫られたネジ。建材・部材を固定したり、締め付けたりする役割を持つ。種類が多く、木材や鉄板など、使用する素材によって使い分ける。