第21回【保険商品の種類】掛け捨てが基本「定期保険」・貯蓄性が高い「養老保険」【定期保険・掛け捨て保険・解約返戻金・満期保険金・保険料が安い・平準定期保険・逓増定期保険・逓減定期保険・養老保険・無配当型養老保険】

<<第20回【生命保険会社ビジネスモデル】逆ザヤの構造とその解消・外貨建て保険の仕組み【外貨建て保険・終身保険・養老保険・個人年金保険・ドル建て保険・予定利率・順ザヤ・逆ザヤ】

掛け捨てが基本「定期保険」【解約返戻金は少ないが、少額の保険料で保障は充実】

「掛け捨て保険」と呼ばれているのが「定期保険」です。定期保険は、解物返戻金がゼロもしくは少ない代わりに安い保険料でも十分な保障を受けることができる保険です。定期保険のしくみやメリットを確認しておきましょう。

定期保険は、掛け捨てで保険期間は一定

定期保険は、「掛け捨て」と呼ばれる保険です。解約返戻金が存在するものもありますが少額で、途中で解約しても保険料は全額は戻りません。また、満期保険金も存在しません。定期保険の保険期間は契約時に定めた一定期間のみとなっており、死亡するまで保障を受けることはできません。その代わり保険料が割安()なため、今でも一定の人気を誇っています。2018年3月末の時点で、国内41社の生命保険会社が有する契約のうち13.7%が定期保険でした。「掛け捨て」という言葉から敬遠されているイメージがありますが、実は根強く支持されている保険です。

定期保険は3種類

定期保険は、保険金額や保険料などによって3つの種類に分けられます。どの定期保険も、契約期間が長期になると保険料も高くなります。

  • 平準定期保険

保険期間中の保険金額や保険料が一定の定期保険です。

  • 逓増定期保険(ていぞうていきほけん)

保険期間が経過すると保険金額が増加しますが、保険料は一定で増加しません。逓増定期保険は節税効果があるとされたことから、法人契約として利用されました(実際には納税の先送り)。

  • 逓減定期保険(ていげんていきほけん)

逓減定期保険は、保険期間が経過すると保険金額が減少する保険です。保険料は一定で減少しません。「若いときは大きな保障が必要だけど歳をとったら小さな保障がよい」などの希望あるケースで利用されています。

逓増定期保険と節税

逓増定期保険は、支払った保険料すべてを損金扱いにできるため、利益を減らせることができ、節税効果が高いとされていた。しかし2019年2月に国税庁がルール変更を通達し、販売停止が相次いだ。

自動更新で保険料が高くなる

定期保険は「10年満期」など契約期間が決められており、満期がくると保険契約は終了します。ところが、契約約款には「保険期間満了日の2週間前までに申し出ない限り自動的に更新される」と書かれていることが多いのです。つまり、「保険の更新はしません」と意思表示しない限り、契約は自動的に更新されます。しかし、更新後の保険料は更新時の年齢で設定されるため、更新するたびに保険料は高くなります。「今月から保険料が急に高くなった」と驚くことがないように注意しましよう。

保険契約件数の内訳

 

定期保険の3種類

 

貯蓄性が高い「養老保険」【生死に関わらず、保険金の受け取りが可能】

養老保険は、死亡した場合は死亡保険金、死亡せずに満期を迎えた場合は満期保険金を受け取ることができる貯蓄性が高い生死混合保険です。ここでは、養老保険の概要を確認しておきましょう。

養老保険の仕組み

養老保険は、死亡しても生きていても保険金を受け取れるうえに、保険によっては配当金も受け取れることから、貯蓄性が高い保険の1つです。万が一に備えながら資産を形成できるため、貯金代わりに加入することが少なくありません。養老保険の保険期間は10年から30年など自由に設定できます。

保障が大きく、貯蓄もできることからメリットが多い養老保険ですが、保険料が高額になるというデメリットがあります。

例えば、ソニー生命無配当型養老保険では、35歳で契約し、60歳満期で保険金額が1,000万円の場合、月払い保険料は男性で3万4,130円、女性で3万3,680円です。男性の総払込保険料は25年間で1,023万9,000円となります(2019年11月2日現在)。

貯蓄タイプの保険は預金のように簡単にお金を引き出せません。解約の手続きなどが必要だからです。支払った保険料がどのくらい増えるかにもよりますが、お金があると使ってしまう人は、お金を引き出しにくいという保険のしくみを利用して、お金を貯める方法として使うことがありました。

養老保険とは

養老保険は、解約返戻金が他の保険よりも高くなる場合が多く、中途で解約した際のロスが少ない。

無配当型養老保険とは

配当がまったくない養老保険のこと。配当があるタイプよりも保険料が割安になる。

予定利率の引き下げで魅力が薄れた養老保険

パブル期などに高い予定利率で募集されていた養老保険は、お宝保険と呼ばれていました。現在は予定利率が引き下げられてしまい、資産運用商品としての魅力は薄れてしまいました。

保険料の高さから、若年層からよりもシニア層に人気があり2018年3月末現在の国内の生命保険会社の保有する養老保険の60歳以上の契約者は21万6,592件で、その割合は全体の20.1%を占めています。

養老保険の形態

 

養老保険の契約者の年齢層

 

>>

TOP