第52回:【住宅業界の動向と今後の課題】未来の住宅スマートホームの展望・【スマートホーム・スマートスピーカー・スマートリモコン・ZEH基準】

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未来の住宅スマートホームの展望【生活の効率化や省エネに貢献】

家電や住宅設備とインターネットでつながり、スマホやスマートスピーカーでコントロールすることができるスマートホーム。今、スマートホーム化はどこまで進み、またこれからどのように進化していくのでしょうか。

ここまでできる現在のスマートホーム

たとえばスマートスピーカーに「おはよう」と声をかけるだけで、照明やエアコン、TVが自動的にオンになる。また、スピーカーからは今日の天気やニュースが流れる。これがスマートホームです。

これらを実行するのに多額の費用が必要だと思うかもしれませんが、実はスマートスピーカースマートリモコンの購入費1~2万円でこれらが可能になります。

スマートホーム化は生活や家事の効率化がアップするだけではありません。AIと連携することで、防犯・健康・省エネにも大きな効果が見込まれています。

つまり、スマートホームは住んでいる人以外にも大きなメリットがあるわけです。たとえば省エネによって環境保護に貢献、また介護における人件費の抑制、防犯によって犯罪の抑制になるなど、さまざまなメリットにつながるわけです。さまざまな企業が力を入れるのは必然でしょう。

スマートスピーカー

AIアシスタント機能を搭載したスピーカー。声に反応してクラウドで接続されている端末の操作ができる。

未来のスマートホーム

住宅設備だけでなく、AIの進化によってスマートホームも比例して進化していくのは間違いありません。

近い将来、たとえば家族全員の心地よいと感じる気温や生活習慣をAlが記憶し、室内にいるときはいつも快適な室温に調整され、かつもっとも電気代がかからないように最適化されるようになっているでしょう。

また、トイレが自動的に排尿・排便の医療記録を取り、医療機関と連携するなどの機器の発展が予想されます。

スマートホーム

利便性だけでなく、防犯面においても人々の暮らしを支えている。家に近付くと自動でエアコンが作動したり、スマートフォンを操作することで鍵が開閉したりする機能がある。

普及が進むスマートホームの利点

普及が進むスマートホームの利点

普及が進むスマートホームの利点

さらに進化するスマートホーム

さらに進化するスマートホーム

さらに進化するスマートホーム

電気の自給自足ができる家ZEHの浸透【環境問題に対応する】

地球温暖化防止のため、2017年に高い省エネ性能の住宅を増やすべく、ZEH基準が設けられました。しかし、基準を満たすために高額な設備が必要になる上、補助金の手続きが面倒なため普及があまり進んでいません。

高い省エネ性能を誇る ZEH

ZEHとは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、地球温暖化対策のため国が定めた高い省エネ基準をクリアした住宅のことを指します。

高断熱や消費電量が低い電力設備などによりエネルギー消費量を抑え(省エネ)、太陽光発電によってエネルギーを創り、年間の一次消費エネルギー量の収支をプラスマイナス「ゼロ」以上にする住宅を指します。簡単にいえば、「電気の自給自足ができる家」ということです。

2018年にZEH基準が設けられたときの計画としては、2020年までに「新築の半数以上をZEHにする」2030年までに「新築の平均でZEHを目指す」という形でした。しかし、2020年の段階で新築の50%という目標は実現できませんでした。

地球温暖化

このまま地球温暖化が進めば、21世紀末には地球の平均温度が約4.8度上昇するともいわれている。住宅業界では、エネルギー消費量の多い給油設備や冷暖房設備の省エネ化に力を入れている。また政府は、住宅業界の温暖化対策推進のため、ZEH基準をクリアした住宅に対して、多額の補助金を配布している。

住宅メーカー側にとってのZEH

ZEH基準をクリアするためには、住宅の断熱・気密性能をアップさせ、かつ省エネ能力の高い照明、換気、給湯、冷暖房などの設備を導入しなくてはいけません。そうなれば必然的に価格が上がります。そのため、ZEH基準をクリアした住宅を売り込もうとすると、そのターゲット層と価格がズレてしまうという矛盾も生まれます。

現在は補助金制度によって価格差が補われますが、住宅メーカ一の営業マンにとって補助金制度の手続き自体もかなり面倒なためなかなかZEHを広める意欲は半減してしまっているのは事実なのです。この問題が解消され、技術がさらに進歩すれば、ZEH基準をクリアした住宅が当たり前になることでしょう。

ZEH (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは

ZEH (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは

ZEH (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは

ZEHの問題点

ZEHの問題点

ZEHの問題点

>>第53回:【住宅業界の動向と今後の課題】災害に耐えるレジリエンス住宅・時代に合わせた空き家問題への対策・成長を続ける中古住宅市場の行方【レジリエンス住宅・空家等対策特別措置法・リノベーション・サブスク】

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