住宅は10年で急速な進化を遂げている
快適暮らすには、数十年経ったら住みかえなくてはならないと感じている人も多くいるかもしれません。しかし日本の住宅業界は、日々進化を続け、快適に住み続けられる住宅を提供しています。
健康·快適性が急速に向上
戸建・マンションの耐震性など安全性が上昇していることは大手住宅メーカーのCMなどを通じて知っている人も多いのではないでしょうか。ただ、安全性以外に、実は「健康・快適」「劣化性能」においても大きく向上しているのです。
近年、住宅はとくに断熱・気密性が飛躍的にアップしました。保温効果が高まったことで、住宅内との温度差が減りました。光熱費が下がるだけでなく、体への負担が小さくなり、ヒートショック予防などにもつながっています。
さらに断熱・気密性が高まることで換気力も向上し、窓を開けることなく空気を新鮮な状態に保つことができます。また、吸気口には高性能なフィルターが搭載され、花粉・PM2.5などの大気汚染物質、ホコリなどを室内に取り込まずに済むようになっているのです。
健康・快適
住環境が充実している状態。きれいな空気環境、敷地環境、化学物質の削減、建物内の温度差軽減などで判断される。
断熱·気密·換気
それぞれ「外部の熱を遮断し内部の熱を守ること」、「構造自体のすき間をなくして空気環境を充実させること」、「空気を入れ換え湿気のこもりやカビの発生を防ぐこと」を指す。
劣化性能が急速に向上
「日本の住宅は30年も経てばだいぶ傷んできて、もう古い家」という感覚を持つ人がほとんどではないでしょうか。古い家に対して「璧を開口すれば断熱材はカビだらけになっている」というイメージを持っている人も多いはずです。
しかし、近年の住宅構造は湿気が内部に溜まりにくくなっていますし、断熱材も進化しカビが発生しにくくなっています。また、断熱・気密・換気の性能が向上したことで木造であっても基礎や柱はダメージを受けづらく、長持ちするようになっています。
屋根 ·・外壁もキッチン・ユニットバス・トイレなどの水回りもすべて長持ちするように作られているのです。
劣化性能
建築物に起こりうる老朽化や損壊を抑制する性能。雨風、湿気、温度変化、摩滅、汚れ、欠損などによる経年劣化への耐性が求められる。
3つの住宅性能の向上
急速に向上する快適さと劣化性能
住宅メーカーの努力によって超省工ネ時代が到来
近年の住宅では暮らしに必要な電気やガスなどのエネルギーは、住宅業界の努力によって、効率化が進んでいます。住宅の省エネ化は快適な生活のために欠かせないものなのです。
エアコンや給湯器との相性を向上させる
住宅でもっとも多く使用されるエネルギーは電気であり、その次に多く使用されているエネルギーはガスです。各住宅メーカーはこの2つのエネルギーをいかに抑えるべきか、という命題を持って励んでいるのです。
使用されるエネルギーが多いものには冷蔵庫やテレビなどの家電も多数含まれますが、住宅メーカーが関わるのは「エアコン」と「給湯器」などの冷暖房機器です。
電気
近年、停電時や災害などの影響を考慮し、太陽光発電や蓄電機能を備えた住宅や、安全性の高いオール電化などが普及している。
ガス
製造所のガスをガス導管を通じて供給する都市ガスと、ボンべに液化したガスを入れて配送するLP(プロパン)ガスの2種類がある。
住宅内で使用するエネルギーの変化
冷暖房機器の使用エネルギーを抑えるためにもっとも重要なことは、外気と内気をしっかりと遮断し断熱効果を高めることです。また、わずかな隙間を埋めて気密性を高め、住宅内に魔法瓶のような保温効果をもたらすことも重要です。
そのために、住宅メーカーは断熱材の性能や窓ガラスの能力を大きく向上させてきました。また、熱交換を行うことで室内の温度を逃がさない換気システムも普及しつつあります。
給湯器の性能もどんどん向上しています。
たとえば電気給湯器「エコキュート」は、「ヒートポンプ」という技術によって空気中の熱でお湯を沸かすことができます。
また、ガスから水素を取り出し空気中の酸素と反応させて発電する給湯器「エネファーム」なども登場しています。
また、使用するエネルギーを減らすことだけではなく、再生エネルギーである太陽光発電の進化にも日々力を入れています。そして再生したエネルギーを効率よく使うための蓄電池も大きく進化しています。
エコキュート
省エネ機能を備えた給湯システム。外の空気の熱を使用して水を温めるため、外気温が高いほど効率が上がる。
ヒートポンプ
温度が低いところから高いところに熱を移動させる技術。冷却も加熱も可能なことから、エアコンや冷蔵庫にも使用されている。
エネファーム
省エネ機能を備えた家庭用燃料電池。ガスから電気とお湯を同時に作ることができ、電気料金の大幅な削減につながる。