<<第2回:【住宅業界】住宅業界の最大の課題は職人不足にある【新築市場・リフォーム市場・中古販売市場】
住宅業界はすべての産業に影響を及ぼす【政府が推奨するほどの経済効果】
人々が暮らす街には飲食店やコンビニがあります。つまり住宅が建設されると、経済活動が生まれ、巨大な経済効果を生み出すことになるのです。国が住宅関連の政策を立案するなど、住宅業界への期待が高まっているのです。
住宅の建設が消費を生む
住宅の業界は、不動産業、建設業、住宅産業、住宅設備、リフォームなど多岐にわたり、すべてを足した経済規模は国家予算の半分近くに迫るほどの巨大な産業です。また、住む場所を作れば人が集まり、ほかの産業にも大きな影響を与える業界です。
家が建ち、地域に人が集まると、当然さまざまな分野で消費が発生します。車や家電・家具の購入、それに地域の飲食店などサービス業などです。また、住宅ローンを組めば銀行業に、ライフラインを使うようになれば水道・電気・ガス業界にも影響がでてきます。
以前、千葉県が算出した「建設投資による波及効果分析」によると、「住宅建設に1000億円の投資(用地取得費を除く)をした場合、第1次・第2次波及効果を含め、1517億円の生産額となった」という結果がでています。つまり、住宅建設は投資額の1.5倍もの経済効果があることになります。
建設投資による波及効果分析
1993年に初版が刊行された、千葉県総合企画部統計課編「入門産業連関表:その見方・使い方」の第4章に記載。産業連関分析の理論から実践までがわかりやすく解説されている。
住宅購入を促進する国の政策
国は住宅購入を促して経済効果を高めるために、さまざまな政策を取っています。
住宅ローンを組むと10年間は借入額の約1%税金が安くなる「住宅ローン減税(控除)」、消費税引き上げによる負担を軽くするための「すまい給付金」などがあります。
また両親や祖父母から、住宅を購入(増改築を含む)するための資金を贈与してもらった場合、贈与税の一部が非課税になる措置もあります。そのほか、マイナス金利政策などの低金利政策により住宅ローンの金利も大幅に低くなっています。
住宅ローン減税(控除)
支払う所得税が控除される制度。正式名称は「住宅借入金等特別控除」。戸建てや分譲、新築や中古を問わずほぼすべての住宅が対象となる。
すまい給付金
2014年の消費税率8%引き上げに伴い発足された制度。増税による金銭面での負担軽減を目的とする。控除額は現金で支給され、最大50万円を受け取ることができる。
住宅地建設の経済波及効果
経済効果を狙った国の政策
少子高齢化による空き家問題は中古住宅の活用で解決する【倒壊などのリスクや治安の悪化】
住む人がいなくなると、どんなに優良な住宅も劣化し問題が発生するようになります。しかし、解体して更地を維持するにも負担がかかるため、空き家が減ることなく、存在し続けてしまいます。
空き家が増加する原因
少子化・高齢化により、戸建てやマンションの空き家が増加傾向にあります。空き家問題は周囲に被害をもたらしていますが、いくつかの弊害が重なるため、とても解決が難しいのです。
少子化による人口減少により、住居の数よりも世帯数が少なくなっているため、空き家が増加するのは必然です。さらに高齢化が進み、高齢者が介護施設を利用するようになっていることも空き家の増加の要因と考えられます。近年は空き家問題が、メディアにも多数取り上げられるようになっています。
戸建ての場合、空き家を解体するには費用がかかり、一方で更地にすると土地の固定資産税の減税措置が働かなくなります。つまり、解体すると負担が大きくなってしまうのです。
またマンションの場合は、戸建てと異なり築年数とともに資産価値が減少する傾向にあり、売却が難しくなってしまいます。
資産価値
その建物や土地自体の価値。マンションの場合は土地を所有しないので、建物が劣化していくにつれ全体の資産価値も下がる。
空き家による問題
空き家を放置すれば、倒壊や火災のリスクが上がり、また不審者が住み着いてしまうなど治安が悪くなる要因にもなります。景観が悪くなり、悪臭や衛生問題も引き起こすこともあります。ひどい場合は人が寄り付かなくなってしまうのです。また、周辺の経済状況を悪化させたり地価の減少を引き起こしたりすることも考えられます。
そして空き家対策として2015年に「空家等対策特別措置法」が制定されました。自治体に強制力を持たせ、特定の空き家に対し管理を促す指導・勧告をできるようにした法律です。従わない場合、強制的に解体し、費用を所有者に請求できます。
空家等対策特別措置法
空き家の管理、有効利用を定めた法律。正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」。行政職員がこれに従い、空き家の実態調査や所有者への管理指導、跡地の活用促進などを行う。
東京都の空き家数の推移
少子高齢化による空き家問題の解決策
>>第4回:【住宅業界】ユーザーニーズの変化に対応し生活しやすい環境を作る・住宅業界と法律改正【セカンドハウス・DIY住宅・シックハウス症候群・アスベスト(石綿)】