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ネット炎上保険や自転車保険など損害保険の新しいニーズ【世の中の変化に合わせた保険を提供】
損害保険会社各社は世の中のニーズの変化を敏感に察知して、さまざまな保険商品を開発、販売しています。若者の車離れによって自動車保険市場の縮小が叫ばれるなか、新しいニーズの保険に注目が集まっています。
一億総SNS時代に対応するネット炎上保険
スマートフォンの普及により、多くの人がSNSサービスを利用して情報発信を行っています。個人による情報発信が容易となった反面、不適切な動画や写真、ネガティブな発言などが拡散されやすくなり、瞬く間に「炎上状態」になってしまうこともあります。例えば、アルバイト社員による、悪ふざけの動画の投稿が拡散されて大炎上状態となり、企業の株価に影響を及ぼす例も発生しています。このようなネットの炎上に対応するための保険が損保ジャパンから販売されました。ネット炎上保険には、炎上対応費用やメディア対応費用などが補償されるだけでなく、炎上対応支援やマスコミ対応支援などのサービスも付帯しています。
SNS
Social NetworkServiceの略。友人や同じ趣味を持った人たちとつながり、インターネット上で交流することができるサービスのこと。
高額賠償に備える自転車保険
自転車保険とは自転車に乗っている際の交通事故による賠償金や自身のケガの治療費などを支払う保険です。警察庁の統計によると、交通事故件数はこの10年では減少傾向にあります。ただし、自転車が加害者となる交通事故では高額賠償事例も出ており、自転車の保険加入が求められています。
東京都をはじめとしたいくつかの都道府県では2020年4月から、自転車保険加入を義務化することを決めており、自転車保険のニーズはよりー層高まると考えられます。
なお、昨今の自転車保険と呼ばれるものは、交通事故傷害保険などをベースにしている商品が中心です。バイクや自動車、電車のほかの乗り物でのケガなど幅広く補償対象になっているもなどのがあります。
高額賠償
自転車同士、自転車と歩行者との事故による被害で、数千万円の賠償金を支払わなくてはならないケースがある。
自転車加害事故の高額賠償事例
かんぽ生命・共済の動向【地域に密着した対応で根強い人気】
かんぽ生命や共済は、地域密着型の営業スタイルで根強い人気を誇っています。その一方で、2019年には、かんぽ生命による不適切な勧誘が社会問題化しました。かんぽ生命の今後や、共済の動向を解説します。
郵政グループ3社長が辞任したかんぽ不適切販売問題
2019年12月25日、かんぽ生命保険は、不適切な販売方法を行っていた問題で、郵政グループ(日本郵政、日本郵便、かんぽ生命)3社長が辞任することを発表しました。外部の調査委員会の調査によると、かんぽ生命では1万2,800件あまりの不適切な保険販売を行っていたことが発覚しました。
かんぽ生命では、認知症が疑われる顧客に過剰な生命保険契約をさせたり、乗り換えによる保険料上昇についての説明をしなかったりなど、不適切な手法で保険を販売していたことがわかりました。その背景には、かんぽ生命に長らく蔓延するパワハラ体質などがあるといわれています。かんぽ生命への立ち入り検査を行った金融庁は、業務停止命令を出しました。
割戻金の多さとリーズナブルな保険料が魅力の共済
共済は、組合員の相互扶助の精神を制度化したもので、非営利事業です。そのため、リーズナブルな保険料で十分な保障を受けられることから根強い人気を集めています。
また、集めた掛け金が余った場合は、組合員に割戻金という形で還元されますので、保険料の割安感は、営利保険会社よりも非常に強くなっています。
共済には、火災共済や生命共済、傷害共済や自動車共済、年金共済などの種類がありますので、ほとんどのリスクに対応可能です。ただし、カスタマイズが可能な商品が少なく、一定以上の手厚い保障をつけることができない、あるいは、高齢者の保障内容が十分ではないなどの問題もありますので、通常の保険と併用するケースが多い傾向にあります。
掛け金
共済では保険料に相当する共済に支払うお金のことを「共済掛け金」という。受け取る保険金に相当するのが「共済金」。
かんぽ生命の不適切契約問題
主な共済団体の共済種類一覧
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