<<第18回:【住宅業界】住宅メーカーはどんな仕事?職種とビジネスモデル【インセンティブ制度・行動指針】
研究開発を繰り返す商品開発部門【自社開発でコストを下げる】
近年、多くの住宅メーカーが商品開発に力を注ぎ、住宅の性能やオリジナリティを競っています。そんな住宅メーカーの生命線である商品開発部門では、実は商品の開発だけ行っているわけではありません。
商品開発部門の仕事内容
商品開発部門はその名前の通り、新しい商品開発の開発を行っています。とくに自社で主に行っているのは構造部の研究開発です。住宅メーカーによっては研究所を所有し、たとえば耐震などの強度などに問題がないかなど、くり返し試験・検証を行っています。
しかし、商品開発部門の仕事はそれだけではありません。たとえば木材・鉄骨・金具などのさまざまな部材を仕入れる前に、本当にその部材が性能的に、またコストパフォーマンス的にも問題ないのかを確認する採用試験も行っているのです。後で説明する資材調達部と綿密に連携を取っていくことになります(住宅メーカーによっては同じ部門の場合もあります)。
耐震
住宅が地震などに対して損傷を防ぐ機能。また、構造の要となる柱などの被害を少なくすることを耐震設計という。
進む自社開発
他の業界、たとえばコンビニエンスストアやホームセンターなどでも、組織が大きくなれば自社でオリジナル商品の開発を行うケースがあります。自社商品は中間マージンがなくなるため、仕入れコストを抑えて安く商品を提供できるからです。
住宅メーカーにおいても同様に、大手になればなるほど建材や設備を自社開発するようになっていきます。昔は自社の強みである商品、たとえばオリジナルの建材の自社開発が主流でしたが、近年ではキッチンなどの設備の開発も進むようになりました。
商品開発部門は新部材の採用試験や構造部の性能アップだけではなく、顧客のニーズがどこになるのか各所から情報収集を行い、新しいコンセプト商品の開発も行っています。たとえば健康志同の住宅、子育て向きの住宅などです。
中間マージン
売り手から買い手に商品が渡る過程で仲介などのサービスを行うことにより、売り手から得る利益のこと。仲介手数料ともいう。
商品開発部門が担う主な仕事内容
新商品の自社開発
法令を遵守した間取りを作成する設計部門【建築士が所属する住宅建築の要】
住宅を作っていく上での計画の要となる設計図。営業や顧客と打ち合わせを重ねながら設計部門のメンバーが作っていくことになります。ここではそんな設計部門の役割や必要な知識やスキルを解説していきます。
設計部門の役割
設計部門には必ず建築士二級以上を保有する設計士がいて、設計において会社が法律を厳守しているという責任を負っています。
設計部門の設計士は、顧客に対して間取りを作成する仕事が基本ですが、社内で賄いきれないオーダーがある場合は外部委託するケースも多々あります。ときには営業マンがプランを作成するときもあります。
ただ、外部の設計士や営業に間取りを作成してもらっても、社内の設計部隊が法的に問題ないか、また自社商品に適したプランになっているか、しっかりチェックしています。
間取り
施主が要望する建物の構造や骨格部分、部屋の配置、設備などを図面化したもの。基本設計図とも呼ばれ、工事用の詳細な設計図を作成する前に簡易的な設計図として用いられる。
設計する上で必要な知識
住宅メーカーの戸建て(注文住宅)を設計し、法的に問題ないことを証明するためには、建築士二級の資格を保有している必要があります。
図面を作成する上で建築基準法や消防法などの法的知識がなければ作成は不可能です。また間取りにおけるセオリーや動線はもちろん、所属している住宅メーカーの商品知識も必要になってきます。
動線
日々の生活において、建物内の人の動きや移動を線で表したもの。家事をするときの家事動線や、トイレに向かう際の衛生動線などがある。
設計部門に求められるスキル
住宅メーカーの場合、設計事務所のような高いレベルの設計を求められることはありません。ある程度商品がバッケージ化されているからです。しかし、要望を奥深く聞くヒアリングカや、隠れた要望を想像する力はとても重要です。その力が契約や願客演足度に大きく結び付くからです。