<<第17回:【住宅業界】総コストに占める施工費・管理費の割合【減価償却費・純利益】
住宅メーカーはどんな仕事に分かれている?【営業部と工事部が主力部隊】
巨大組織である住宅メーカーは、願客に住宅を提供するためにさまざまな部門を作り、それぞれに適した人材を配置しています。ここではそれぞれの役割を大きく3つに分けて、業務内容を説明します。
先導する経営層と開発チーム
会社という大きな船の操縦士である経営管理部門は、顧客に対してどのようなコンセプトの住宅を提供していくかを決めていきます。また全部門の管理・統制や資金・数字管理、問題点の洗い出しから解決などを行います。
また、商品開発部門や資材調達部門は、住宅メーカーの業績に大きく関わるため、経営管理部門が示すコンセプトに合わせて、より高性能な商品の開発を行っています。顧客に対して少しでも価格を抑えられるよう、利益を確保できるように、高品質の資材を低価格で調達できるように日々努力しています。
2つの主力部隊とバックアップ部門
住宅メーカーの中でもっとも人員が必要となる主力部隊は営業部門と工事部門です。注文住宅の場合は顧客によって好みや要望、建てる敷地などが大きく異なるため、それぞれの顧客に対応するための営業マンがたくさん必要になってきます。
また、その次に従業員が多いのが工事部門の現場監督です。家を建てるための実働隊の役割を担っています。
上記部門以外にも実務をバックアップする部門がいくつもあります。顧客の要望に合わせて、設計図や仕様書を作り提案する設計・コーディネート部門。また、設計図や仕様書から必要な材料やその数量を算出する積算部門。引き渡し後に定期点検など顧客のフォローを行うアフター部門などがあります。
住宅メーカーによっては土地購入のサポートをする不動産部門、自社建物のメンテナンスを行うリフォーム部門を所有していることもあります。
定期点検
住宅建築後のメンテナンスサービスのこと。引き渡しから、3か月後、半年後、1年後などの期間でスケジュールを組む。壁紙と壁の間に隙間ができるなど不具合があった場合、修繕してもらうことができる。
住宅メーカーに携わる各部門
自社のビジョンを具現化する経営管理部門
他のすべての部門を統括する経営管理部門はもっとも責任が重く、企業の向かうべき道を先導する指揮官の役割を担っています。ここでは住宅メーカ一の経営者がどんな仕事を行っているのかを解説します。
住宅業界における経営管理の仕事
住宅メーカーの頭脳である「経営管理」。一般的に経営管理とは、企業が経営活動を通して会社のビジョンを達成するために、資産である「ヒト」「モノ」「カネ」の調整や総括を行うことを指します。そのほか、従業員の行動指針を策定し向かっていくべき方向性を指し示す、非常に重要な役割があります。
住宅メーカーの場合は衣食住の「住」を通して、どんな社会貢献ができるかがビジョンとなります。そのビジョンを具現化するために、社内のヒト、モノ、カネを調整していくのです。
行動指針
企業が営利活動をする中で定めた理念やビジョンを具体的なアクションに落とし込んだ行動の方針。積水ハウスでは「人間愛」を企業理念とし、それをもとに、9原則からなる行動指針を作成している。
アメと鞭と顧客満足
住宅業界は昔から企業ランキングの入れかわりが多く、競合が激しい業界でした。その特徴のためか、従業員に対して業績ノルマやインセンティブ制度を設け、とにかく販売力を高めようという傾向がありました。
その反面、ノルマに対しての締め付けが強く、従業員が不正をしてでも販売をする、という問題が発生していました。しかし、それでは顧客満足につながりません。
近年ではインターネットなどで各住宅メーカーの情報(ロコミなど)が簡単に手に入るようになってきたので、顧客満足が以前より重要視されるようになってきました。
経営者はこの販売力と願客満足のバランスを取ることも重要な役割なのです。
日本の少子化・人口減少の中では、今後住宅メーカーの経営は年々難しくなるでしょう。その中でも「船が沈没」しないように新しいビジネスモデルの展開が経営者に求められています。
インセンティブ制度
ノルマなどの一定の数値達成を対価に報酬を与える制度。一般に報酬は金銭であることが多い。ほかにも、成績優秀者が参加できる海外旅行などを用意している会社もある。
経営管理部門の仕事内容
顧客満足の重視
>>第19回:【住宅業界】研究開発を繰り返す商品開発部門(自社開発でコストを下げる)建築士が所属する設計部門【耐震・中間マージン・間取り・家事動線・衛生動線・耐震設計】